解説|8人制サッカーフォーメーション3-3-1の長所・短所とシステム変化
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はじめに
サッカーのフォーメーションは現代サッカーにおいて多様な変化を見せています。特に選手や監督がサッカーのフォーメーションの長所や短所を深く知っておくことは、試合で勝利を呼び寄せる上で重要なキーファクターとなっています。
スペインの育成年代の選手たちは、小学生年代からフォーメーションの特徴を理解し、試合中に相手のフォーメーションを見抜いてプレーします。これが「ピッチを上から見ている選手」が共通に持つ能力です。ピッチを俯瞰して見る選手たちは、相手チームと自チームの基本フォーメーションを頭の中でイメージ。その特徴を知った上で、ピッチ上でプレーしています。
もちろん監督が全てのフォーメーションを理解することは必須条件。優秀な監督は、試合開始3分でピッチ上の全状況を把握するとも言われます。
また選手や監督ではないサッカーファンの方々は、両チームのフォーメーションに注目して試合を観戦することで、より深くサッカー観戦を楽しむことが可能です。
本記事では、8人制サッカーで主流となっている3-3-1のフォーメーションの短所・長所。そしてシステム変化について解説していきます。
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★超重要★ フォーメーションとシステムの違い
フォーメーションとシステム。「違う言葉だけど、同じ意味」だと理解している方は多いかと思います。
しかし!!
フォーメーションとシステムは全く別の意味を指します。
早速その違いを説明していきます。
フォーメーションとは、相互に影響を及ぼしあう要素から構成される、まとまりや仕組みの全体です。
つまり、【フォーメーション=チーム力を最大限に引き出すための基本的な陣形】と言えます。
システムとは、攻撃または防御の際の選手の配置。 また、その配置からの展開の型です。
つまり【システム=基本フォーメーションから攻撃・守備の際に変化する流動的な陣形】と言えます。
スペイン・欧州のサッカーでは、1試合を通じて1つの陣形で戦うことは少なくなり、基本フォーメーションから攻撃時・守備時に合わせてシステムチェンジして陣形を変えるのが主流になってきています。
スペインの小学生年代は7人制サッカー
スペインでは小学生年代は7人制サッカーで1シーズンのリーグ戦を戦います。
特徴的なルールは「オフサイド」。オフサイドラインがペナルエリアの3メートルほど手前に引かれています。
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理由はスペースと時間の確保にあります。
7人制サッカーコートは11人制サッカーコートの約半分。(もう少し小さいグランドもあります)通常のオフサイドラインを適応すると、ゴールキックの際は14人全員が1/4コートに密集することになります。それでは守備側が有利な状況になります。
ボールを繋いで運ぶより、前にロングボールを蹴ったほうが安全で簡単。つまりコーチ・選手ともに「数的優位・位置的優位を生かして前進するサッカー」を選びづらくなります。
スペインの7人制サッカーのオフサイドルールはよく考えられています。前線の選手が深さを取ると、守備陣もマークする他ありません。敵DFラインが下がれば、守備ブロックのライン間のスペースが広がります。
また「ライン形成が明確になる→ゾーンの区別がしやすい=数的優位や位置的優位性を理解しやすい。」ことも、このルールが有効な点です。スペイン代表の流れるようなパスサッカーは、育成年代の仕組みづくり賜物と言えるでしょう。
FCバルセロナのカンテラが愛用する7人制のフォーメーションとシステム変化
7人制サッカー3つの基本フォーメーションタイプ
7人制サッカーには8人制サッカーと違って、フォーメーションの種類が多くありません。基本的に3つのタイプに分かれます。
①3-2-1=4-3-3が原型(ポジション配置が斜め)。中盤に能力の高い選手が必要。サイドバックは11人制におけるウイングの役割も果たす。
②2-3-1=4-2-3-1が原型(ポジション配置が直線と斜めの融合)。サイドハーフに高い守備力と攻撃力が求められる。センターバックの高いカバーリング能力が必須。
③3-1-2=4-4-2フラット&ダイヤモンドが原型(ポジション配置が直線&ダイヤモンド)。縦に早いサッカーと相性が良い。2トップの能力次第で爆発的な攻撃力を発揮する。
クライフがバルサ監督時代に浸透した4-3-3の基本フォーメーション。7人制サッカーになると3-2-1のフォーメーションに姿を変えます。バルサは信念を貫き続けています。
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FCバルセロナのカンテラで統一される【基本フォーメーション3-2-1とシステム変化】
バルサのカンテラは、世界有数のプロサッカープレーヤー育成機関としても知られます。FCバルセロナのトップチームといえば華麗なパスサッカー。クラブのプレーモデルに合った選手を育成する。そのためバルサのカンテラでは、4-3-3が原型の「3-2-1フォーメーション」が使用されています。
【合せて学ぼう】【8人制サッカートレーニング】バルサのように数的優位を作ってボールを運ぼう!
【攻撃時のシステム 2-3-1】
バルサに対して中盤でブロックを作るチームが多い。2トップで前線からのプレッシング選ぶチームは少ない。つまり1トップでの守備に対するビルドアップのパターンが必要となる。システム変化によって数的優位を作り、ビルドアップの場面で「2vs1」を生み出す意図がある。
【守備時のシステム 3-1-2】
前線からプレッシングを行いたい時によく見るシステムチェンジ。2トップにすることでロングボールを蹴らせる意図がある。バルサのカンテラの選手は、質的優位性で優るのでDFラインを1vs1にしてもボールを奪える可能性が高い。できる限りすばやくボールを回収して攻撃する。ボールを保持してゲームの流れを作りたいバルサに相性の良いシステムと言える。
守備時のシステムは基本的に3-2-1となります。相手によっては、3-3のシステム変化で中盤にブロックを作る場合もあります。
8人制サッカー基本フォーメーションタイプと原型のまとめ
まず基本的な8人制サッカーのフォーメーションタイプを考えます。
①2-4-1=4-2-3-1が原型。(ポジション配置が直線と斜めの融合)。
②3-3-1(フラット)=4-4-2フラットが原型。(ポジション配置が直線)。
③3-3-1(ダイヤモンド3-1-2-1)=4-4-2ダイヤモンドが原型。(ポジション配置がダイヤモンド)。
【合せて学ぼう】【8人制サッカー戦術解説】最強ストーミング戦術 (ダイヤモンド型331)
④2-3-2=4-3-3が原型。(ポジション配置が斜め)。
3-3-1フォーメーションの特徴
ここから詳しく②3-3-1フォーメーションの長所・短所とシステム変化について解説していきます。
3-3-1フォーメーションの長所と短所 | |
《長所》 | |
☆ピッチ上のスペースがバランスよく埋められている。 ☆3人がフラットに並ぶ中盤のラインは、守備ブロックが作りやすい=戦術理解度が低くても守れる。 ☆フラットなラインが2列並ぶ=距離感がよい⇒カウンターアタックの対処がしやすい。 ☆ミッドフィルダーが3人+ディフェンスも3人=組織的な守備に安定感をもたらす。 ☆1トップがサイドに流れることが出来る。フォワードの動きが制限されない。 ☆攻撃と守備役割がわかりやすい→【3-1-3の形】→攻撃の切り替えがしやすい=カウンターアタックに繋げやすい。 ☆均等かつ平行に、分かりやすくポジションが配置されているため、カバーリングやポジションチェンジがしやすい。サイドバックとサイドハーフのぺルムータ※(カバーリングのカバーリング)やボランチがセンターバックが空けたゾーンを埋めるなどが見られる。 | |
《短所》 | |
・ボランチの選手に高い戦術理解度が必要となる。 ・攻撃と守備役割がわかりやすい→【3-1-3の形】→守備のリトリートを怠ると、チームが2つに割れる減少が発生する。 ・基本的に、ディフェンス、ミッドフィルダー、フォワードと横に直線を引いた形=プレーが過度に水平的になることがある=ボールが前に進まない。 ・フォーメーションが直線的な配置のため、ビルドアップ時に「斜めのポジション」でボールを受けることが難しい。 ・中盤が1人=中央レーンのセンターバック・ボランチ・フォワードに高度な戦術理解度が求められる=彼らのタレント力がフォーメーション機能の鍵。 ・2-4-1、2-3-2、3-1-2-1と比較すると中央で数的不利になりやすい。(中央にはボランチ1人のみ) |
攻撃と守備におけるシステムチェンジのバリエーション例
攻撃システム
【3-2-2】
【2-4-1】
守備システム
【3-1-2-1】
前線からプレッシングする際に相性の良いシステムチェンジ。
【2-3-2】
中盤で組織的な守備ブロックを作るときに相性の良いシステムチェンジ。
以上が、8人制サッカー3-3-1の長所と短所、システム変化についてです。
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