トッププレーヤーを輩出し続ける!!スペインサッカー育成年代リーグ戦の仕組み
日本でも最近リーグ戦文化が浸透しつつありますが、未だに全国大会へ繋がるトーナメントへの人気が高い傾向にあります。もちろん、一発勝負には「感動」が生まれますので、メディアが取り上げやすいのも影響しているのではないかと思います。
一方、スペインではトーナメントは「お祭り・イベント」的な雰囲気が強く、リーグ戦がシーズンの軸となっています。
なんと全国大会は存在しません!!「全国大会優勝」という言葉ももちろん存在していません。
全国大会がないスペインサッカー育成年代・・・。なぜ毎年トッププレーヤーが輩出されるのか?その謎にリーグ戦の仕組みからヒントを得ます。
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カテゴリー
スペインで育成年代に7つのカテゴリーが存在しています。各カテゴリーごとにリーグ戦が組織されています。
Escuela エスクエラ →5歳以下
日本のサッカースクールに当たります。この年代はまだ他のクラブとのリーグ戦はありません。5人制や6人制、または7人制のリーグ戦をクラブ内で行う程度です。しかしチームは既に存在しており、1チームに最高でも12人の選手までしか加入できません。また監督も1チームに1人います。つまり、12人の選手を1人の監督みる体制がこの頃から確立されています。
Prebenjamin プレベンハミン→ 6・7歳 「7人制のホーム・アンド・アウェーの総当たり戦」
スペインでは、2学年毎にカテゴリーが区切られています。プレベンハミンは6歳・7歳のカテゴリーとなります。この年代から他のクラブとのリーグ戦が始まります。ただ、昇格と降格はありません。地域ごとに分かれたグループで戦います。1チーム最大12人で、監督とコーチの2人スタッフがいるチームもいます。
Benjamin ベンハミン→ 8・9歳
「7人制のホーム・アンド・アウェーの総当たり戦」
ベンハミンは8歳・9歳のカテゴリーです。ここからリーグがレベル別に4部まで分かれ、昇格と降格争いが始まります。各クラブ、複数チームが登録可能ですが、同じディビションに入れるのは、同クラブで2チームのみとなっています。1チーム最大12名で、1チームにつき監督とコーチの2人のスタッフがいます。
Alevin アレビン→ 10・11歳
「7人制のホーム・アンド・アウェーの総当たり戦」
アレビンは9歳・11歳のカテゴリーです。7人制ゲームの最後のカテゴリーとなります。1チームにつき監督とコーチの2人のスタッフがいます。
Infantil インファンティール→ 12・13歳
「11人制のホーム・アンド・アウェーの総当たり戦」
インファンティールは12歳・13歳のカテゴリーです。ここから11人制の試合が始まります。アレビン年代までは、カタルーニャ州リーグ1部が6グループに分かれていました。この年代からは、さらに競争力を高めるため、1部リーグは1グループのみとなります。基本的に1チーム20名で、監督とコーチ2人のスタッフがつきます。トップクラブになれば、トレーナーやフィジカルコーチ、分析担当までいます。
Cadete カデーテ→ 14・15歳
カデーテは14歳・15歳のカテゴリーです。リーグ戦のルールや構造はインファンティール時代と変わりません。基本的に1チーム20名で、監督とコーチ2人のスタッフがつきます。トップクラブになれば、トレーナーやフィジカルコーチ、分析担当までいます。
Juvenil フベニール→ 16・17・18歳
フベニールは 16・17・18歳のカテゴリーです。最後の年代のみ3学年が同時に戦っています。さらに、カタルーニャ州ではディビションは4つですが、新たにスペインを7グループに分けたユースのトップリーグが加わります。基本的に1チーム20名で、監督とコーチ2人のスタッフがつきます。トップクラブになれば、トレーナーやフィジカルコーチ、分析担当までいます。
ディビション
Prebenjamin プレベンハミン
カタルーニャ州で49グループあり、それぞれのグループに12チーム~14チームが振り分けられます。リーグ戦は、「7人制のホーム・アンド・アウェーの総当たり戦」です。年間に22試合~26試合のリーグ戦があります。
Benjamin ベンハミン
カタルーニャ州で4部まであります。1部が7グループ、2部が24グループ、3部が25グループ、4部が44グループ存在します。また各クラブは複数チームを登録可能です。1部から3部の同じディビションには最大2チームしか登録できません。
例えばFCバルセロナはベンハミンのチームをAチームからEチームまで持っています。
AチームとBチームは1部に所属(9歳の選手で構成)、CチームとDチームは2部に所属(8歳の選手で構成)Eチームは3部の所属(将来有望な7歳の選手で構成)しています。
Alevin アレビン
カタルーニャ州で4部まであります。1部が6グループ、2部が15グループ、3部が46グループ、4部が54グループ存在します。すべての年代の中で一番登録チーム数の多い年代となります。
Infantil インファンティール & Cadete カデーテ
カタルーニャ州で4部まであります。1部はここから1グループだけになります。1部が1グループ、2部が4グループ、3部が16グループ、4部が40~45グループが存在します。
Juvenil フベニール
カタルーニャ州で4部と、その上に全国リーグが存在します。全国を7グループに分けたユーストップリーグ、カタルーニャ州1部1グループ、2部4グループ、3部14グループ、4部34グループの5つのディビションが存在しています。
【ユーストップリーグの順位表】
昇格と降格
各グループの1位のみが昇格します。降格はディビションやカテゴリーによって違いますが、各グループ3チームから4チームが降格圏となります。毎年、クラブは昇格・降格争い勝つために全力をかけてチーム作りをしていきます。
もちろん、選手の育成を追求しながら勝利を目指すのが前提となります。
年間試合数
スペインサッカー育成の驚くべき点は、その年間試合数の少なさです。
年間の公式リーグ戦は最大30~35試合となります。さらにリーグ戦期間中の練習試合はリーグ中断期間に組まれる3試合程度です。プレシーズンに4~6試合ほどトレーニングマッチが組まれますので、合計しても年間35~45試合となります。
1日に1試合しか行われません。年間の試合数はおおよそ日本の2分の1~3分の1となります。
【スペインで活躍する選手紹介】
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試合時間と選手交代
Prebenjamin プレベンハミン Benjamin ベンハミン Alevin アレビン
7人制は15分✕4本で試合が行われます。交代は、「各選手必ず試合に1本は出場する」ことがルールとして定められています。交代人数は自由ですが、1本目~3本目までの試合途中の選手交代は認められません。
Infantil インファンティール
11人制のインファンティール年代は35分✕2本で試合が行われます。「すべての選手が試合に出場するルール」はなくなります。交代人数と一度交代した選手の再出場は自由となりますが、審判を呼びとめて交代できるのは3回までとなります。相手の監督が使った選手交代の機会を「利用」すれば、自チームの選手交代回数にはカウントされません。つまり、うまくいけば6回まで交代可能となります。
Cadete カデーテ
11人制のカデーテ年代は40分✕2本で試合が行われます。交代ルールはインファンティール年代と同じです。
Juvenil フベニール
11人制のフベニール年代は45分✕2本で試合が行われます。カタルーニャ2部リーグ~4部リーグの交代ルールはインファンティール・カデーテ年代と同じです。カタルーニャ1部リーグは交代枠が4名、ユーストップリーグは3名までとなっています。
テクノロジーの利用
カタルーニャのリーグ戦はすべてのカテゴリーの試合結果をカタルーニャサッカー協会のアプリ・ウェブサイトで確認することが可能です。得点者や得点時間、カードなどの情報に加えて、各選手の試合出場数なども確認することができます。
スペイン語ですがカタルーニャサッカー協会公式ウェブサイトをチェックしたい方はこちら→http://fcf.cat/
リーグ戦整備だけでなく、最新のテクノロジーを駆使して、リーグ戦をより魅力的にする工夫があります。カタルーニャでサッカーに関わる人々は、いつもカタルーニャサッカー協会のアプリで結果をチェックしていますね。
カタルーニャ州の育成年代のリーグ戦システムとテクノロジー利用は参考にすべき一例かもしれません。
まとめ
文章だけでは伝わりづらいかもしれませんが、スペインのリーグ戦の整備は世界でも最先端であると思います。また毎年ルール改定やリーグ構造の改善を行っています。
スペインの現地では育成年代からプロフェッショナルな環境でサッカーをする文化作りが進められ、それが将来プロになったときのパフォーマンスに繋がっている様です。
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