【解説】サッカーフォーメーション3-4-1-2の長所・短所とシステム変化
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はじめに
サッカーのフォーメーションは現代サッカーにおいて多様な変化を見せています。特に選手や監督がサッカーのフォーメーションの長所や短所を深く知っておくことは、試合で勝利を呼び寄せる上で重要なキーファクターとなっています。
スペインの育成年代の選手たちは、小学生年代からフォーメーションの特徴を理解し、試合中に相手のフォーメーションを見抜いてプレーします。これが「ピッチを上から見る選手」が共通に持つ能力です。ピッチを俯瞰して見る選手たちは、相手チームと自チームの基本フォーメーションを頭の中でイメージ。その特徴を知った上で、ピッチ上でプレーしています。
もちろん監督が全てのフォーメーションを理解することは必須条件。優秀な監督は、試合開始3分でピッチ上の全状況を把握するとも言われます。
また選手や監督ではないサッカーファンの方々は、両チームのフォーメーションに注目して試合を観戦することで、より深くサッカー観戦を楽しめます。
ラ・リーガ2018-2019、キケ・セティエン監督率いるベティスのフォーメーションでもある3-4-1-2の短所・長所・そしてシステム変化について解説します。
【ラ・リーガ試合分析FCバルセロナvsベティス】ポジショナルプレーの激突
★超重要★ フォーメーションとシステムの違い
フォーメーションとシステムを「違う言葉だけど、同じ意味」だと理解している方は多いのではないでしょうか?
しかし!!
フォーメーションとシステムは全く別の意味を指します。
早速その違いを説明していきます。
フォーメーションとは、相互に影響を及ぼしあう要素から構成される、まとまりや仕組みの全体です。つまり、【フォーメーション=チーム力を最大限に引き出すための基本的な陣形】と言えます。
システムとは、攻撃または防御の際の選手の配置。 また、その配置からの展開の型です。
つまり、【システム=基本フォーメーションから攻撃・守備の際に変化する流動的な陣形】と言えます。
スペイン・欧州のサッカーでは、1試合を通じて1つの陣形で戦うことは少なくなり、基本フォーメーションから攻撃時・守備時に合わせてシステムチェンジし、陣形を変えることが主流になっています。
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ペップ・グアルディオラ率いるマンチェスター・シティ
例えばペップ・グアルディオラが率いるマンチェスター・シティーは、以下の1つの基本フォーメーションから複数のシステムンチェンジを行っていました。その1つを紹介します。
【基本フォーメーション 4-3-3】
グアルディオラが、バルサ監督時代から愛用する4-3-3の基本フォーメーションです。
リーグやクラブが変わっても変わらず使い続けています。
【攻撃時のシステム 3-6-1】
これはバイエルン時代に発明した「偽サイドバック」というシステム変化です。
サイドバックの選手がボランチの位置に移動する画期的な陣形であり、各ポジションの選手の特徴を最大限に生かしています。
マンチェスター・シティの場合、ボールポゼッション率を高めるために中盤に数的優位を作り出す必要があります。このシステムでは、中盤に6人の選手を配置。シルバやデ・ブライネといったキープレーヤーが、フリーでボールを受けやすい状況が生まれます。
またウイングの選手はサイドで1vs1を仕掛けやすい形ができ、スターリングやサネのようなサイドアタッカーが伸び伸びとプレーします。さらにサイドバックがボランチの位置に入ることで、カウンターアタックにも備える。かなり考え抜かれたシステムチェンジと言えます。
【守備時のシステム 4-1-4-1】
守備時のシステムは基本的に4-1-4-1となります。相手によっては、4-4-2や4-3-3で前からプレッシングに行く場合もあります。
[分かりやすい♫参考動画↓]
3-4-1-2フォーメーションの特徴
それでは、ここから3-4-1-2フォーメーションについて長所や短所、システム例を用いてより、
詳しく説明していきます。
3-4-1-2フォーメーションの長所と短所 |
《長所》 |
☆ウィングバックがディフェンスラインまで下がり、5バックで守備する場合、1人が中盤に守備に出ても4バックを常に残すことができる。 ☆守備で数的有利な状況が作りやすい。2トップ+2ウイング、3トップのフォーメーションの相手と対戦する場合も有利となる。 ☆2トップ・3人のミッドフィルダー・3バックと、陣形が中央レーンに固まっているため、ウィングバックが縦に自由に動ける。 ☆センターバックが3人いるため、ウィングバックが安心して攻撃に参加できる。 ☆攻撃の際、サイドにスペースができ(ウイングがいないため)、2トップがサイドに流れることが出来る。 |
《短所》 |
・両ウィングバックに高い運動量が必要となる。 ・中央に選手を固めているため、相手のサイド攻撃に弱い。 ・ウイングのポジションが存在しないので、相手が4バックの場合、サイドバックへのアプローチができない→サイドバックが自由にボールを運べないようにするためのオーガナイズが必要。 ・相手のフォーメーションが1トップのみの場合、ウィングバックが守備的な選手であれば、ディフェンダー層が厚すぎる可能性がある。→4バックに変更するか、明確な3バックにしてウィングバックを上げるなどの対策をとる。 ・2トップが横への動きで邪魔をし合うケースもあるため、フォワードの動きが制限される場合がある。 |
各ポジションのタスクについて、ツイッターにて画像で配信中(@supercrack_2018)
攻撃と守備におけるシステムチェンジのバリエーション例
攻撃システム
【3-4-3】
フォワードがウィングのポジションまで広がり、トップ下がフォワードのポジションまで上がります。(もしくは1人が広がり、トップ下がウィングになる)
ウイングバックの背後が狙われやすくなるので、ボランチがまずカバーリングに入り、守備システムに切り替えるための時間を作るオーガナイズを行うと、カウンター対処も効率化できます。
守備時は、5-4-1システムなどを利用していたコンテ監督時代のチェルシーは、3-4-3を攻撃システムとして頻繁に使っていました。
【3-1-4-2】
ボランチが2人から1人になり、1人がトップ下と共にインサイドハーフになります。相手のカウンター攻撃では、サイドハーフの背後を狙われやすい。攻撃されている逆サイドのサイドハーフやインサイドハーフ、ボランチのカバーリングが重要となります。
守備システム
【5-2-1-2】
ウィングバックがディフェンスラインまで下がり、最終ラインを厚くするシステムです。このシステムでは、中盤のサイドにスペースが空いてしまいます。相手にこのスペースに入られたら、サイドバックが前に出て対処し、余った4人のディフェンスラインがスライドし、空いたスペースを埋めるアクションが必要です。
守備を固めつつ、前線にフォワードを2人置くので攻守の切り替えがしやすいことが特徴です。更に、基本フォーメーションからのポジションチェンジもかなり簡単です。(ウィングバックがディフェンスラインまで下がるだけ)
【5-4-1】
ウィングバックが下がり、3バックから5バックになります。フォワードが、サイドハーフのポジションまで下がり、トップ下が9番の役割を果たします。
試合終盤、1点差・2点差で勝っているときに、「逃げ切る」ために使用されるシステムです。5-2-1-2と比べると、中盤のサイドのスペースがより効率的に埋められているシステムになります。それを引き換えに、攻撃陣がかなり薄くなり、カウンターを仕掛けづらいことが不利な点でしょうか。
以上が、3-4-1-2 の長所と短所、システム変化についてです。
他にもチーム戦術や個人戦術などの記事も配信しています。是非、関連記事へ♫
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