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【基礎編】バルセロナで学ぶフィジカルトレーニングメソッド 


目次[非表示]

  1. 1.はじめに
  2. 2.基礎運動能力とは 
  3. 3. コーディネーション能力
  4. 4.フィジカル能力
    1. 4.1.パワーの種類
    2. 4.2.スピードの種類
    3. 4.3.持久力の種類
    4. 4.4.柔軟性の種類
  5. 5. フィジカルトレーニングは存在しない?
  6. 6. おわりに
  7. 7.関連記事

はじめに

スペインで学ぶフィジカルトレーニングメソッドでは、これまで考えていた「フィジカル」という言葉がより細かく言語化されていると感じました。

「速い選手」、「強い選手」、「体力のある選手」と言った表現が良くありますが、サッカーというスポーツでは特にスピード、パワー、持久力の中にも様々な種類があり、伸ばしたい特定のフィジカル要素に合わせたトレーニングを日々準備する必要があると感じています。

今回の記事ではバルセロナで学ぶフィジカルトレーニングメソッドの基礎、分類について説明していきます。

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基礎運動能力とは 


選手が持っているフィジカル能力であり、トレーニングによって能力を向上する事が出来る。


基本フィジカル能力の分類:

・運動調節能力
動作を高い精度で、効率良く行う為の運動の組織、調節能力の事を指す。

・フィジカルコンディション
選手の持っているフィジカル能力の事を指す。

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 コーディネーション能力


  • コーディネーション能力:神経筋肉のコントロール能力
  • バランス能力:動きの中で適切な姿勢を保つ能力
  • 変換能力:状況の変化に応じて、素早く動きを切り替える能力
  • リズム能力:リズム感を養い、動くタイミングを掴む能力
  • アジリティ能力:一つのアクションをより早く、正確に行う能力
  • 定位(空間認知)能力:状況(空間と時間)の中で、自分の身体を適切な場所に置く能力
  • 連結能力:体全体をスムーズに動かす能力
  • 識別能力:道具やスポート用具を自分の思った通りに扱う能力

  • 反応能力:合図に素早く反応して、適切に対応する能力


 
運動調節能力を高めることで、新しい運動能力の獲得を容易にします。
反対に基礎運動能力をトレーニングする事でこれらの運動調節能力を高める事ができます。

フィジカル能力

・パワー:筋肉の収縮により、外部または内部の抵抗に対抗する神経筋の能力
・スピード:可能な限り素早く動く能力
・持久力:長時間の運動による疲労に耐える能力、そしてより迅速に回復する能力
・柔軟性:最大振幅で動作を実行できる能力

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パワーの種類


・最大筋力:一度に発揮出来る最大パワー
・持久筋力:静的または動的トレーニングでの長期的または反復的なストレスによる疲労に抵抗する能力
・爆発的筋力:身体を高速で動かす能力

スピードの種類


・反応スピード:外部刺激を受けてから機械的反応が始まるまでの時間 (5〜10m)
・移動スピード:可能な限り短い時間である距離を移動する能力 (20m)
・動作スピード:可能な限り短い時間で体の一部を動かす能力 (技術アクションなど)

持久力の種類

・有酸素持久力
1. 有酸素エフィシエンシー:長時間、低強度 (40分以上): マラソンなど
2.  有酸素カパシティ:中程度の持続時間、中程度の強度 (約 20分〜40分) :サッカーなど
3.  有酸素ポテンシャル:中程度の持続時間、高強度 (2分 ~ 20 分) 1500走

・    無酸素持久力
1.  無酸素有乳酸カパシティ:45秒〜2分
2.  無酸素有乳酸ポテンシャル:30秒〜45秒
3.  無酸素無乳酸カパシティ:15秒〜30秒
4.  無酸素無乳酸ポテンシャル:15秒以下

柔軟性の種類

・柔軟性 フレキシビリダッド:制限や痛みなしに、関節または一連の関節を可動域全体で動かす能力
・弾力性 エラスティシダッド:力を与えられて変形していた筋肉が元の位置に戻る能力

 フィジカルトレーニングは存在しない?


スペインではフィジカルトレーニングやフィジカルコーチという言葉が無くなり始めています。
なぜなら全てのトレーニングは、サッカーの様々な要素が含まれている必要があると考えられており、フィジカルだけに特化したトレーニングなど存在しないと考えられています。
そのためトレーニングも従来の筋トレなどではなく、ボールを使ったり、実際の試合に近い状況のトレーニングの中で、フィジカル要素に刺激を入れています。
もちろんジムでのトレーニングも重要ですが、こちらではサッカーのパフォーマンス向上のためのトレーニングでは無く、選手の健康を保つため、スポーツ選手・アスリートとしての能力向上の為に行われます。
 
例えば、小さいスペースでのポゼッション形式のトレーニングでは、選手は加速、減速、フィジカルコンタクトなど、パワー系のアクションを行う事が多くなり、結果パワー系の能力を向上する為のトレーニングになります。
反対に大きなスペースでトレーニングをする事で、長い距離のダッシュや総走行距離が増えるので、スピードや持久系のトレーニングになります。
 
このようにサッカーのトレーニングをする事で、フィジカルだけでなく、技術、戦術、メンタルなどの要素を含んだトレーニングがサッカー選手としての能力を向上するために重要であるとされています。

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 おわりに


今回はバルセロナで学ぶフィジカルトレーニングメソッドの基礎について説明しました。
このようなトレーニングをするようになった背景には、スペインのトレーニング時間の短さにもあると思います。短い時間でより効率の良いトレーニングを行おうとするとこのように1つのトレーニングで様々な要素をトレーニングしようというような考えに辿りついたのかもしれません。
日本のトレーニング文化は全く違うものなので、フィジカルに特化したトレーニングをする時間、技術に特化したトレーニングをする時間があっても良いのではないかと感じています。


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石黒力蔵

石黒力蔵

愛知県出身、2013年高校卒業と共に、バルセロナへ指導者留学。 サッカー指導者ライセンスレベル2を取得後、バルセロナの大学でスポーツ科学を専攻。FCBarcelona Innovation hub プロサッカー指導者コース(大学院)受講中。 スペインの古豪CE JupiterとFF Badalonaにて全ての年代を第一監督、第二監督として指導。現在はEC Granollers にてユース年代のパフォーマンス向上部門の責任者を務めつつ、ユースAチームの第二監督兼フィジカルコーチとして活躍している。 さらにスペイン人指導者と共に、UNIQとしてバルセロナと日本で心理学を主軸としたサッカースクールを展開中。 Instagram→@riki_soccer_bcn

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