スペインサッカー攻撃の集団プレー戦術【ラインのバランス】
はじめに
日本では「個人戦術」「グループ戦術」「チーム戦術」が主に主流となっていますが、スペインではその他に【集団プレー戦術】という概念があります。なぜ集団プレー戦術と呼ぶ必要があるのか?
理由は2つ。
①スペイン語で「Juego colectivo(フエゴ・コレクティーボ」といい、直訳すると「集団的プレー」となるから。
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②日本語で置き換えることができない概念だからです。集団プレー戦術はチームとしてサッカーをするための原理原則です。「グループ戦術」と「チーム戦術」の間に位置している。と言えばわかりやすいでしょうか。
本記事では、攻撃時の集団プレー戦術で最も基礎となる【ラインのバランス】の概念について紹介します。
目次[非表示]
- 0.1.はじめに
- 0.2.集団プレー戦術とは?
- 0.3.サッカーの原理原則とはなにか?
- 0.4.攻撃の集団プレー戦術【ラインのバランス】
- 0.5.ラインのバランスとプレーモデルのつながり
- 0.6.ラインのバランスの定義とキーファクター
- 0.7.まとめ
- 0.8.関連記事
集団プレー戦術とは?
集団プレー戦術とは、「13のプレーシチュエーション」を更に深く掘り下げ、サッカーの原理原則の部分を整理したものです。まずは、以下の記事を読むことをオススメします。
【必読】サッカーの基礎!13のプレーシチュエーション(前編)
さて、これから「13のプレーシチュエーション」を理解していると仮定して、話を勧めていきます。
上記の図を見ていただければ分かるように、「プレーモデル=チームの在り方」を設定することがチームを作る上での大枠になります。
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次に「チーム戦術=ゲームプラン(チームとしての試合での戦い方)」となります。
そして、そのゲームプランを実行するための土台が「技術」「フィジカル」「メンタル」そして、「戦術の原理原則の理解」の部分になります。戦術は2つに分けられ【個人戦術】と【集団プレー戦術】となります。※グループ戦術を組み込むことも可能です。
サッカーの原理原則とはなにか?
サッカーにおける原理原則とは、サッカーの状況において「90%以上の人々が同じ答えを導き出すアクション」と仮定します。
例えば、以下の状況を見てください。
この状況では、ボール保持者にプレッシャーがかかっているとき「受け手のサポートの選択肢は足元になる場合が多い」です。もちろん原理原則から飛び出すことは大切ですが、まずは「ボール保持者にスペースがない場合は、足元のサポートが有効である」という事を知るのが大切です。基本を知らなければ応用問題は解けませんからね。
この概念は「攻撃の個人戦術マークを外す動き(デスマルケ)」に分類されます。
合わせて読みたい!スペインサッカー攻撃の個人戦術【デスマルケ】
では次の状況です。以下の図を見てください
黄色チームがセンターバックからサイドバックへボールを出した状況。赤チームが守備をしていますが、①方向、もしくは②方向、どちらに守備ブロックをスライドするべきでしょうか?
サッカーを知っている人ならすぐに分かりますよね。正解は①方向へスライドです。もちろん長年サッカーに親しんでいる人には簡単な問題ですが、サッカーを始めた子供たちにとっては難問です。さらに個人戦術と違って、チーム全体の動きとなるので難易度もアップします。
このアクションは「守備の集団プレー戦術、ラインのバランス(チームの横のバランス)」に分類されます。
ただ、例題からわかるようにサッカーには、普遍的な原理原則が存在しています。それを整理して言語化し、幼少時からバランスよくトレーニングすることが必要となります。
攻撃の集団プレー戦術【ラインのバランス】
ラインのバランスとは、スペイン語で「equilibrio en la linea(エキリブリオ・エン・ラ・リネア)」で、ラインのバランスを保つことを指しています。
まずサッカーには「ライン」という概念があり、それはシステムと関係しています。
例えば、4-4-2・4-2-3-1・4-3-3など全てのサッカーのシステムは、3つもしくは4つのラインで形成されていることがわかります。
【合わせて読みたい!】ラインの概念に関する記事
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このラインの概念こそがサッカーの肝であり、サッカーの基礎でもあります。ラインが存在しなければ、ポジションは存在しません。自分のポジションでプレーすることが理解できると、ピッチ上にラインが生まれます。
ラインのバランスとは、ラインの横のバランスを言います。ラインのバランスを保つことによって、リスクマネージメント効果や、ボールポゼッションの際のチームの幅を確保し、スペースを生み出すことができます。
例えば、以下の状況を見てみましょう。
1-4-3-3のシステムで右サイドバック(SB)が持ち上がった場面です。ラインはディフェンスラインと、アンカーとサイドバックの関係性のラインが存在している状況です。
この場合は、アンカー、左サイドバック、センターバック2人は「ラインのバランスを保つためにどのようなアクションをすれば良いでしょうか?
この状況では、原理原則に従うと以下のような動きが理想的となります。
①ボールが前進したので、「ライン間のバランス」を保つためにチーム全体が前に押し上がる。
②サイドバックが上がったスペースをケアするために「ラインのバランス」を整える。全体がボール方向にスライドする。※ラインのバランスとライン間のバランスのコンセプトは関係性が深いですが別物ですので、混同しないようにしてください。
③ボールを奪われた後、相手のカウンターにすばやく対応することが可能となる。
「ラインのバランス」を少しイメージできたでしょうか?スペインでは集団プレー戦術のコンセプト(原理原則)を小学生年代が少しづつトレーニングしています。
だからスペインで団子サッカーを見ることは、低学年のゲームでも全くと言って良いほど無いのです。
ラインのバランスとプレーモデルのつながり
ラインのバランスは「13のプレーシチュエーション」における組織攻撃の原理原則となります。組織守備の原理原則にも「守備のラインのバランス」が存在しますが、今回は攻撃のみのラインのバランスにフォーカスします。
また、組織攻撃の集団プレー戦術は、ビルドアップ・前進・フィニッシュの3つのプレーシチュエーションの中に全部で5つの原理原則が存在します。フィニッシュのプレーシチュエーションの中には2つの原理原則が存在します。
集団プレー戦術の基礎はすべて【ライン間のバランス】から派生していますので、以下の記事を読むこともオススメします。
ラインのバランスは「チームの横のバランス」で、ライン間のバランスが「チーム縦のバランス」となります。
合わせて読みたい!スペインサッカー攻撃の集団プレー戦術【ライン間のバランス】
ラインのバランスの定義とキーファクター
- ライン間のバランスの定義
ラインのバランスを整えるアクションは、「攻撃シーンの組織攻撃の中の、ゾーン1ビルドアップ・ゾーン2前進・ゾーン3フィニッシュの3つのプレーシチュエーションで実行される。ライン間のバランスと深い関係性をもつ概念であり、ボールの位置に対する1つのライン上の選手たちの適切なポジショニングや、動きをラインのバランスと呼ぶ。
《キーファクター》→ラインのバランスを理解するためのポイント
サイドレーンにいる選手はチームの幅を確保する (広がってスペースを生む) |
中央レーンにいる選手は、サイドの選手との距離が 均等になるようにポジションを取る。 |
ボールのサイドの選手は 常に前進(ラインを超えること)を意識したサポートを行う。 |
ボールサイドから離れた選手は、ポジション修正を行う。 ボール方向へラインの距離感を縮める。(リスク管理) |
まとめ
ラインのバランスは小学校低学年から徐々に教えて行く必要があります。もちろんボールを追いかけ回す「ただ楽しいサッカー」も必要ですから、集団プレー戦術ばかり教えてもいけません。全て『バランス』の問題なのです。子供たちがポジションありのサッカーが楽しそうでなければ、ポジションなしで自由に試合をさせても良いのです。ただ、そればかりではサッカーはうまくなりません。常に「抑えるべき原理原則を落とし込む時間」と「単純にサッカー楽しむ時間」のバランスを考えながらトレーニングを組み立てるといいでしょう。
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