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簡単に突破されない守備!スペインサッカー常識「ディフェンスの壁」とは?

高度に進化した現代サッカーにおいて守備の重要性は日に日に高まっています。せっかく得点したのに、簡単にゴールを許してしまい逆転されてしまうチームは多いのではないでしょうか?

サッカーは他の競技に比べて得点の少ないスポーツ。特に同等レベルのチームとの戦いでは、1点が勝敗を分けることも少なくありません。リーグ戦の順位表をみると、失点の少ないチームが上位にいることがよくわかります。これは、得点しても失点をすれば負けることがありますが、失点しなければ負けることは絶対にないからです。

【リーガ・エスパニョーラ2016-2017シーズンの順位表】

スペインでは「ライン」を超える/超えさせない駆け引きが重要視されています。それは言葉にも現れており、日本では「ラインを超える」という言葉はあまり使いませんが、スペイン語では「Superar(スペラール)」の一つの言葉で、全員が「ラインを超える」事だと理解できます。

そこまでラインが重要視される理由はなにか?

今回は、簡単に点を取らせない!スペイン流守備ライン【ディフェンスの壁】の作り方を紹介します。

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【最大のポイント】サッカーはラインスポーツ!ラインの壁を意識して守備をする。

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これがスペインと日本の守備理解の一番の違いです!サッカーはラインスポーツとはどういうことでしょうか?

ラインとは同じ高さに並んでいる選手のことを言います。

以下の図のシステム1-4-1-4-1のオレンジチームでは、4ラインが存在しています。

では、なぜラインを形成して守備をするのでしょうか?

それは、ラインが多ければ、ディフェンスの壁が増えるからです。

図1のように、1~2ラインで守ってしまうと簡単に裏をとられてしまいますよね。(だから、ラグビーは前にボールを進めれないルールがあります)

【図1】


では、ラインは増やせばいいのか?それもNOです。なぜならサッカーピッチの横幅をカバーできるのは最低でも3人必要です。2人以下ですと、ピッチの横幅をカバーしきれません。5ライン以上を作って守備をすることはできないのです。図2

【図2】

つまり、サッカーシステムは3つ、4つの守備ラインで形が作られています。そして、そのラインを超えられないように守備をするのがサッカーにおける基本です。



自分のいるラインを超えられると、どんなことが起こるの?

図3の7番と同じラインにいるのは10、8、11番です。7番が自分のラインを超えられると必然的に同ラインにいる10、8、11番はいないも同然になるのです。さらにチーム全体が後退することになります。

【図3】


「ライン=ディフェンスの壁」です。ラインは超えられると下がって再度作り直さなければなりません。しかし、チーム全体がラインを超えられないことを意識して守備をすれば、チームの守備力はかなりUPします。

基本は、1つ目のラインを超えられたら、2つ目のラインの選手がボールに出る。

2つ目のラインを超えられたら、3つ目のラインの選手がボールに出る

3つ目のラインを超えられたら、4つ目のラインの選手がボールに出る。

これに加えて、同ラインでのラインの構築と再構築を繰り返せば、ディフェンスの壁の層が厚くなり強固な守備となります。

芸術的守備のスライド!4ラインの守備とプレスバック

同ラインで守るディフェンスの壁の作り方4ステップ

①自分の背後で受けられない。前を向いて守備をする。

自分のラインを超えられないようにポジショニングしてみましょう!


②自分のラインをパスで突破されなければ、ドリブル突破されても同ラインの選手がカバーに行ける。


③突破された選手はボールを追いかけずに、4人のラインをもう一度作る。→自分のカバーに行った選手のポジションに戻る。


④7番と10番が入れ替わっただけで、もう一度同じラインを作ることができる。

相手がボールを下げたら、7番と10番が自分のポジションに戻れば最初の陣形に元通り。


基本は1つ目のラインを超えられたら、2つ目のラインの選手がボールに出る。

2つ目のラインを超えられたら、3つ目のラインの選手がボールに出る

3つ目のラインを超えられたら、4つ目のラインの選手がボールに出る。

これが基本ですが、この同ラインの形成を繰り返せば、相手の攻撃が少し遅れただけで相手は進めなくなるわけです。


考えてみよう!練習問題

【失敗例】

よくある失敗は、ラインを意識せずに間違った選手が飛び出してしまうことです。

以下の練習問題にチャレンジ知ってみてください。


【練習問題1】 オレンジ7番のポジショニングが悪くラインを突破された状況で、青3番にプレスに行く選手はだれでしょうか?考えてみてください。

【解答】

この場合は2つ目のラインを超えられてしまったので、追いつくのであれば6番(アンカー)の選手が行くべきです→3つ目のラインの選手が出る。サイドバックが出ると守備の壁(ライン)が減ってしまうからです→※最終ラインの選手は最後の手段。オレンジ6番が青3番を遅らせれば、7番のラインの選手が戻る時間を稼ぐことができます。

この時にアンカーの選手は自分の開けた内側のスペースを消しながら「じわじわ」と遅らせることが大切です。7番・10番・8番・11番の戻る時間を稼ぎ、再度ライン形成を行うためです。ここで慌ててボールに出てしまうと、中央のスペースを使われてしまいます。


【練習問題2】この状況では誰がサイドバックのカバーに行くべきか?

【解答】

最終ラインの守備では、できるだけセンターバックが出てないことが重要です。間に合うのであればボランチがサイドバックのカバーに行くほうが良いでしょう。


まとめ

チームの守備力の向上の好影響はチーム練習でも現れます。ラインを意識した守備を始めると、攻撃側もラインを突破するアイディアを生み出すようになります。試合でボールが進まない攻撃は、普段の練習でラインを超えることを意識していないからかもしれませんね。

 アトレティコ・マドリードアトレティコと対戦するチームは、「パスは回っているけどボールは進まない」ことがよくあります。これは、ラインを意識してより多くの壁を作り出しているからです。各状況で、誰が誰のカバーリングをしているか見ると面白いです。

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栗本悠人

栗本悠人

スペイン協会公認サッカー指導者ライセンスレベル3所持(日本のS級相当)スペインの現地クラブで小学生年代から高校生年代まで全カテゴリーの監督を歴任。大学時代は人間性の教育の研究に従事し、小学校教員免許を所持する。教育学、経営学、心理学をヒントに、サッカーの競争原理と育成の統合を目指している。スペクラ創設者&スーパーアドバイザー。 

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