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【バルセロナで戦うサッカー監督コラム】指導者の競争

はじめに

 7月の上旬から日本へ一時帰国し、日本の指導現場をたくさん訪問させていただき、また色んな指導者の方々とお話をさせていただく機会がありました。その指導者の方々一人ひとりが熱意を持ち、選手の成長を手助けしようと日々奮闘していました。力になれる範囲で戦術の話、技術の話など、色々なお話をさせて頂きました。「自分の持っている知識を伝えて、日本サッカーの向上に繋げて頂きたい」そんな想いでした。

日本サッカー育成年代の問題点と日本人選手の可能性

色々な指導者の方々と話す中で、日本の育成における問題が見えてきました。例えば、週末には5試合以上が行われていること3~4時間の長時間の練習が行われていること。さらに、「今年の様な猛暑の中でも休みなく活動を強いられている」といったような問題点が、多くの指導者から聞こえてきました。もちろんそれらは指導者、クラブ、協会、文化的側面の問題です。

日本の育成における問題点は先程挙げたようにいくつかあります。しかし、日本の選手達はこの悪い環境の中でも確実に進歩していると私は思います。日本人選手達は相当なポテンシャルを持っていると改めて思いました。

もちろん多くの問題を抱える日本の育成年代のサッカー現場ですが、私は他の問題点の存在が気になりました。

日本サッカーがさらにレベルアップするために必要なこと

では、現時点において何が不足しているのか? 

私は「指導者がレベルアップできる環境の欠如」だと思っています。選手のレベルをより一層アップさせる為には、やはり指導者のレベルアップがとても重要になってきます。そのために、一番必要な要素が「指導者間の競争」です。もちろん指導者養成コースでの「基礎的なサッカーの知識」の底上げも重要です。しかし、最も重要なのは「競争」のある厳しい環境です。競争なくして優れた指導者は多く育たないと感じます。

現在、私が指導しているスペイン・カタルーニャ州からは、優秀な指導者が多く輩出されています。その理由の一つに、「熾烈な指導者間の競争」があります。その競争に勝ち抜かなければ、上のステージに行く事は出来ません。勝負の世界において試合の勝敗は切っても切り離せないものです。もちろん勝敗だけが全てではありませんが、とても大きな評価基準の一つと言っていいでしょう。

では日本の場合はどうでしょうか⁇

日本の育成年代の指導者の場合、試合の勝敗で来シーズンの去就が決まるのではありません。持ちあがりで担当コーチがカテゴリーを上げる。または、何十年も監督をしている人の元でコーチとして働き続け、彼が引退するのを待つ。このような構造があると思います。(もちろん例外もあります)そうなると、先人以上のスピードで指導者が成長することは難しくなります。そして競争がないことで、日本サッカー自体のレベルアップが遅れ、欧州との差がさらに広まってしまいます。だから私は、「選手だけに競争を求めず、監督自ら競争の世界に入り、より良い競争をできる環境を作り出していくこと」が世界に勝つためのポイントだと思っています。

まとめ

今のシステムの中で指導者の競争を日本で求めることは難しい事だと思います。しかし、それでも指導者の競争環境を少しずつ改善していく事で、必ず日本サッカーの発展に繋がると私は確信しています。私たち指導者は選手以上の競争を求めなければならないのです。

リーズ・ユナイテッドを率いて1991~92年に、イングランド1部リーグで優勝したハワード・ウィルキンソン監督は、指導者の競争の重圧を表した有名な名言を残しています。

監督には二通りしかない。クビになった監督と、これからクビになる監督だ。

これはネガティブな言葉ではなく、全ての監督に終わりがあり、そして始まりがあることを意味しています。

競争に負けたら、また立ち上がればいいのです。負けを受け入れて、もう一度立ち上がる精神が一流の指導者にとって必須ではないでしょうか?


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中村貴大

中村貴大

スペイン・バルセロナ在住 スペイン協会公認サッカー指導者ライセンスレベル2所持(日本のA級相当)スペインの現地クラブでU-10・U-14の監督を務める。過去に育成コーディネーターとしてスペイン指導者の育成にも携わった。Tiwitter→@Spas11nv11Taka

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