【サッカーのポジション別役割まとめ】サイドバック(守備時のタスク)
サッカーにおいて、サイドバックの能力が試合を優位に運ぶ上で重要だと言われています。たくさんのチームが守備時に「サイドバックへボールを追い込む」ことを共通意識と持っている場合が多く、サイドバックがプレスを受けている状況でも、落ち着いてボールを繋げる能力を持っていればチームの攻撃オプションは広がります。さらに、中央突破の難しい現代サッカーでは、サイドでの1vs1のシーンが多くなります。サイドバックは1vs1の強さに加えて、ボランチやサイドハーフ、センターバックと連携した守備力も求められます。
求められる役割がもっと明確にわかっていたら・・・。教える指導者もはっきりと言語化して選手に要求できます。また教えられる選手側も頭の中にはっきりとしたイメージを思い描いて、アクションを実行することができるでしょう。
今回は、サイドバックの守備時のタスクのまとめ完全版を公開します。
【サッカーのポジション別役割まとめ】サイドバック(攻撃時のタスク)
はじめに
ポジション別タスクは個人戦術・個人技術のアクションにフォーカスしていますので、チームでの戦い方等は頭の片隅に置いておいてください。とにかくサイドバックのポジションでプレーする上での原理原則と考えて貰えればと思います。また、攻撃時とは【チームがボールを持っている時】の事です。チームが攻撃しているときのリスクマネージメントは【守備的なアクション】ですが、攻撃時のタスクとしてまとめています。
〈タスク1〉
スライディングを極力使わないようにして、センターリングを上げさせないようにプレッシャーをかける。
→サイドバックはサイドレーンでの1vs1が多くなるポジション。中央レーンにスペースのない現代サッカーではサイドからのセンターリングのゴールからの得点が多くなっています。センターリングを簡単に上げさせないことは、失点を減らす上で重要な役割です。また、「スライディングは最後の手段」だと頭に入れておく必要もあります。スライディングした後は、リアクションが必ず遅れます。スライディングをせずに間合いを詰めて、センターリングのコースを限定していくのが理想的です。
〈タスク2〉
ゴールに近い相手プレーヤーの守備を優先する。
→小学生年代のサイドバックに教えてあげるべき原則です。サッカーにはボールサイドのマークを優先するという原則があります。ボールが離れたレーンにある場合は、ゴールに近い相手をマークしましょう。
スペインサッカー守備の個人戦術【マーク】でディフェンス力を劇的に上げる
〈タスク3〉
ペナルティエリア内では、マンマークで相手をつかまえる。
→ペナルティエリア内ではゾーンを守るより、マンマークで相手を捕まえることが優先されます。ゴールは1つ。そして、そのゴールにボールを入れるのは「人」ですから、人を捕まえるのはペナルティエリア内の必須項目です。もちろんゾーンとマンマークを併用する場合もあります。
〈タスク4〉
センターリング、コーナーキック、フリーキックの場面では、相手に前を取られない。相手にコンタクトする。ステップを踏んで、体の向きを作る。
→サイドバックにはクロスの対応も求められます。もちろん、フリーキックやコーナーキックのマークに入るシーンも多いと思います。基本的なことですが、意識して取り組むことでより安定感のあるサイドバックになれるでしょう。
〈タスク5〉
クリアーした後は、相手がボールをコントロールするまでラインを上げ、全体がペナルティエリアから出る。
→ペナルティエリア内での守備からボールをクリアーした場合は、ボール方向にラインをアップして、ペナルティエリアから出る必要があります。ペナルティエリアに残っていると、「セカンドボールを拾えない」「オフサイドを有効に活用できない」「相手にスペースを与える」などのデメリットがあります。サイドバックの選手も、クリアーのあとは必ず「ラインアップしてペナルティエリアから出る」必要があります。
〈タスク6〉
1vs1の状況では、相手のシステムや相手の特徴に合わせて、「外」もしくは「中」に誘導する。
→サイドバックの選手は「中」を切って「外」に追いやるのが基本です。しかし、システムや相手の利き足によっては中に誘導するほうが良い場合もあります。スペインではサイドバックの選手に監督から「外」「内」どちらに誘導するか試合前に指示があります。中に誘い込んでボランチと挟み込んだり、逆足でプレーせざる得ない状況を作ったりします。
〈タスク7〉
キーパーと1vs1のピンチの状況ではゴールカバーに入る。
→基本中の基本です。
〈タスク8〉
シュートを打たれた後はセカンドボール(こぼれ球)を常に狙う。
→基本中の基本です。
〈タスク9〉
ラインのバランスを保つ。
→サイドバックの選手はチーム全体の「幅」を調節する役割を担っています。逆サイドのサイドバックが攻撃参加した場合、基本的にもう一方のサイドバックはラインのバランスを保つためにディフェンスラインに残ります。もちろんプレーモデルによって両サイドバックが攻撃参加して、ボランチがラインのバランスを保つ場合もあります。
【一緒に覚えよう!】スペインサッカー攻撃の個人戦術【横距離(アンプリトゥ)】
〈タスク10〉
常に同一視野を意識したポジションニング(マークとボールが両方見える位置と体の向き)
→個人戦術【マーク】の基本中の基本ですね。
〈タスク11〉
数的不利、数的同数の状況では不用意に飛び込まず、遅らせて味方のサポート待つ
→最終ラインはチームの最後の砦。攻撃側が有利な状況では、ボールを奪うことではなく、ゴールを守る守備を優先しましょう。
〈タスク12〉
背後へ飛び出す動き(突破のデスマルケ)や、ワンツーの場面では、必ず一度相手についていく!ボールが出てこない場合はラインに戻る。
→特にFWの選手のセンターバックの背後を取るアクションには、一度ついていく必要があります。ボール保持者がパスを出せないと判断させることが重要です。
〈タスク13〉
センターバックとの間のギャップへのパスコースを常に切っておく。
→個人戦術【マーク】の要素になります。自分のマークを見ながら、パスコースを消す「中間ポジション」を取る必要があります。センターバックとサイドバックの間へのパスが通れば、ゴールに繋がる可能性が高いですので、サイドバックにとってかなり重要なタスクと言えるでしょう。
〈タスク14〉
相手のボールが前進すれば、背後のスペースを消すために、ラインを下げる。ボール保持者がフリーな場合も、ラインを少しづつ下げる。
→【ライン間のバランス】集団プレー戦術の原理・原則の内の一つ。
【あわせて学ぼう】スペインサッカー攻撃の集団プレー戦術【ライン間のバランス】
〈タスク15〉
センターバックが1vs1のため、もしくは空中戦でゾーンを出た場合はカバーに入る。
→個人戦術【カバーリング】の要素になります。基礎中の基礎です。
【あわせてマスター!】スペインサッカー守備の個人戦術【ペルムータとカバーリング】
〈タスク16〉
自分のゾーンを出た後は、全力で自分のポジションに戻り、ラインのバランスを取り戻す。
→【ラインのバランス】集団プレー戦術の原理・原則の内の一つ。
【あわせて読もう!】スペインサッカー攻撃の集団プレー戦術【ラインのバランス】
〈タスク16〉
サイドチェンジの可能性がある場合は、ポジションを修正し、相手との距離、スペースを減少させ、ボールが動く間に距離を縮める。
個人戦術【マーク】の要素になります。自分のマークを見ながら、ディフェンスラインのバランスを保つ「中間ポジション」を取る必要があります。ボールから遠い相手をマークしているときは、必然的に相手との距離は広がります。ボールが動いている間にマークに詰めることができるからです。逆にボールに近い相手をマークするときの距離は近くなります。
まとめ
サイドバックが機能するチームは試合で主導権を握ることができます。守備・攻撃どちらのタスクも理解して置く必要があります。
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FW陣と違って感覚的なプレーよりも理論的なプレーが求められます。
最後にイタリアの名将サッリ監督のディフェンス27のトレーニングのリンクをご紹介します。
「27 Drills for Defending With 4 at The Back (DRONE). Maurizio Sarri」
https://www.youtube.com/watch?v=pJwsAOfpOFI
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