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【バルセロナで戦うサッカー監督コラム】君はバルサと戦いたいか? 後編

前編では、カタルーニャ州(スペイン)で、選手の獲得のためにどのようにスカウティングが行われているかを大まかに話しました。後編では、「獲得すべき選手を見分ける術」を話していきます。


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プレーモデルに合った選手を探す

まず、カタルーニャ二部を戦うにあたり、自分達のチームがどの様な基本的プレーモデルを持つべきなのかを考えなければ、チームに合う適切な選手を獲得できません。その為には、ライバル達と自分達の力差関係を理解するところからは始めなければならないのです。自分達のチームは二部残留を目的にしており、試合中、ボールの主導権を握る事は難しく堅守速攻をベースとした基本的プレーモデルを採用することが多くなることを予測しました。

プレーモデルに必要な選手の特性を考える

そのプレーモデルを成り立たせる為に大まかに三つの要素を兼ね備えた選手を獲得していこうとしました。

合わせて理解しよう!【プレーモデル】

・コーディネーション能力が高い選手、又は身体的優位性がある選手
・頭がいい選手
・精神的に真面目な選手


まずはどんなプレーモデルを採用しようが大前提として、コーディネーション能力が高い選手はチェックしなくてはいけません。体を上手く使えると言う事は、全てのスポーツにおいて必要な要素であり、サッカーという競技にいても重要な能力の一部です。また、コーディネーション能力が高くなくても何か秀でているもの、例えば、身長が高い・筋力がある、などの身体的な優位性もチェックしていきました。フィジカル的に優位性を持っている選手については、特にFW、DFの選手たちに絞ってスカウティングを行いました。


次に、頭の良い選手についてです。私の中で頭のいい選手とは、タスクをあたえられている中でもプレーの決断が柔軟な選手のことです。

試合中考えてプレー(チームのタスク)を実行している選手と、実行できていない選手の差は、指導者の目からはっきり違いが分かります。また、監督から求められていることを理解してプレーしている選手と、そうでない選手の差は歴然です。そういったプレーの決断が柔軟な選手、チームの決め事を理解してプレーしている選手をチェックしていきました。

そして最後に重要になってくるのが精神的に真面目な選手。しっかり自分に与えられている仕事を毎回毎回正確に実行できる選手をスカウティングしていきました。私の中で1番大事なのはこの精神的に真面目な選手です。チームスタッフにもスカウティングの際、最終的には迷ったらこの能力が高い選手を選ぶようにと言いました。苦しい状況の中でもチームのために働くと言う事はとても大変なことです。そういうことが出来る選手を多く抱えているチームは結局、大崩れすることなく踏ん張りが効く良いチームになるからです。

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まとめ

「これらの観点から選手達を観て、チームの力差を考慮しながら選手をスカウティングし、実際に獲得していくと言う作業を一年間通じてやること」が、この国で求められている指導者の能力の一部です。戦術や技術の話は、この次に来る問題であり、日本だろうが、スペインだろうが、チーム編成が勝敗を大きく握っていることを知らなければならないのです。

つまり、勝負はチーム作りの段階から始まっている。そして、チーム作りの段階で勝負に負けている場合もあるのです。

そして、自分が求めている選手を獲得したからこそ、監督には責任が生じるのだと思います。試合の結果はあくまで表面上のものであり、その結果が出るまでにいくつものプロセスを重ねチームが出来上がっていきます。

監督は試合の結果だけで判断されるものではないのです。チームスカウティングから始まり、その後も様々な要素が組み合わさり、監督のタスクが確立していきます。サッカー監督の仕事がさらに理解されるように、これからも発信し続けていきたいと思います。

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中村貴大

中村貴大

スペイン・バルセロナ在住 スペイン協会公認サッカー指導者ライセンスレベル2所持(日本のA級相当)スペインの現地クラブでU-10・U-14の監督を務める。過去に育成コーディネーターとしてスペイン指導者の育成にも携わった。Tiwitter→@Spas11nv11Taka

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