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スペインサッカー育成の仕組み 小学生年代「7人制」


目次[非表示]

  1. 1.はじめに
  2. 2.2019-2020シーズン競技規則
    1. 2.1.グランド
    2. 2.2.試合時間
    3. 2.3.出場時間
    4. 2.4.審判
  3. 3.おわりに
  4. 4.関連記事

はじめに



育成年代では、選手の年齢で7つのカテゴリーに分けらているスペインサッカー。各カテゴリーごとにリーグ戦が組織され、「ディビション」を意識した闘いが小学生年代から繰り広げられています。

8歳になればホーム&アウェイで昇格や降格といった「ディビション」を意識した大人と変わらないリーグ戦の仕組みの中でシーズンを闘います。

この国ではなぜ競争力の高い選手、指導者が生まれるのか。それは単なる国民性によるものなのか?生まれ育った環境や文化が影響することは様々な地域の人々の違いを見れば明らかですが、はたしてそれだけなのでしょうか。

小学生年代のサッカーの違いはどうでしょう。子供達が大人と同じようにホーム&アウェーで試合をする環境、自分がプレーがデータとして残りランキングが見れる環境、国内の各州のサッカー協会がそれぞれ明確な育成のメソッドやコンセプトを持ち、それを最大限に発揮するための育成年代のリーグ戦の仕組みを持っている環境がスペインにはあります。

今回の記事では、カタルーニャサッカー協会管轄のリーグ戦で行われる「7人制」サッカーの競技規則、特徴をご紹介!


2019-2020シーズン競技規則

小学生年代で行われる7人制サッカーには3つのカテゴリーが存在しています。

【合わせて読みたい】トッププレーヤーを輩出し続ける!!スペインサッカー育成年代リーグ戦の仕組み

Prebenjamín  プレベンハミン→ 6・7歳

ディビジョンは1つのみ。

Benjamín ベンハミン→ 8・9歳

4つのディビジョンが存在し、昇格、降格争いがスタート。

Alevín アレビン→ 10・11歳 

同じく4つのディビジョンが存在。7人制の最終カテゴリーとなり、11人制をスタートする年代となるInfantil インファンティル のチームを率いる指導者は翌シーズンのチーム編成に向けたスカウティングに足を運びます。

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グランド

基本的には全試合芝のグランドで行われます。

7人制のためだけに作られたグランドは少なく、11人制のグランドのハーフコートに7人制コート用のラインが引かれたものが多くなっています。ゴールは可動式で、11人制の試合では閉じられているこの両サイドのゴールを開くと7人制コートが完成する便利な作りになっています。​​​​​​​

簡易ベンチと得点盤がピッチ脇に置かれ、11人制のコートで2試合が同時に行われる光景が一般的となっています。

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コートのサイズ

ピッチの縦の長さは最大65m、最低50mで横の長さは最大45m、最低30mに定められています。


オフサイドのルールは日本で行われている8人制とは異なり、エンドラインから12mのところに引かれたラインより先がオフサイドゾーンとなっておりそこまではオフサイドのルールは適用されません。

このラインより先はオフサイドルールが適用されることとなります。

オフサイドポジションにいること自体は反則ではない。
1.後ろから二人目の相手選手よりも攻撃しているゴールラインに近い場合、オフサイドポジションにいることになる

2.オフサイドポジションではないケース

A. オフサイドゾーンの外にいる
B.    攻撃しているゴールラインから二人目の相手選手と同じ高さ、もしくはその選手より低い位置にいる
C. 攻撃しているゴールラインに最も近い二人の相手選手と同じ高さ、もしくはその選手より低い位置にいる

3. オフサイドポジションが反則とみなされるケースは味方選手がボールを触れた瞬間、審判が

a) プレーに関与していると判断した場合
b) 相手競技者がボールをプレーする可能性に影響を与えるような明らかな行動をとる
c) その位置にいることによって利益を得たと判断した場合

4. 以下のプレーではオフサイドポジションが反則とされない
a) コーナーキック
b) スローイン
c) ゴールキック​​​​​​​

11人制、また日本で行われる8人制とは異なるこのルールは、カタルーニャ州サッカー協会が考える選手が小学生年代で身につけるべきサッカーの原理原則の部分と深い関わりがあります。

オフサイドラインまではピッチの横の幅だけではなく縦の深さを取ることが可能となり、通常のオフサイドルールによって選手たちがハーフコートに押し込まれ、スペースをなかなか生み出せないといった状況を減らします。

小学生年代では集団プレー戦術の習得ももちろんですが、協会も重要度をさらに高く設定している個人戦術アクションや技術アクションを意図的に必要とさせる仕組み、数多く発生させる狙いがあります。


試合時間

小学生年代の試合時間は1試合4ピリオドに分けられています。

Prebenjamin  プレベンハミン→ 10分×4ピリオド 計40分

Benjamin ベンハミン→ 12分×4ピリオド 計48分

Alevin アレビン→ 15分×4ピリオド 計60分

第1、第2ピリオド間、第3、第4ピリオド間に2分間、第2、第3ピリオド間には10分間のハーフタイムが設けられる。

選手登録

1試合における1チームの選手登録人数は最大14人。


出場時間

各選手の出場時間は各協会が定めるルールによって定められています。

試合に参加する各選手は最低2ピリオドの出場が義務付けられており、

1~3ピリオド内での選手交代は怪我の場合を除いて認められておらず各ピリオド間、もしくは最終第4ピリオドのみ選手交代が認められています。

このルールにより選手の出場時間が確保されると同時に指導者のチーム全体のマネージメント、1試合を通じたプランニングやオーガナイズが試されます。

審判

7人制サッカーでは協会から派遣される審判がどのカテゴリー、ディビションでも1人で行います。

資格を持った、各協会に登録された審判が協会によって毎週各試合に振り分けられ笛を吹きます。タブレットやPCを常備し試合前のチーム、選手、監督等のデータを入力。

選手、スタッフの協会登録状況、健康診断の履歴や協会の保険の支払いなどが完了しているかどうかなどの情報もこちらでコントロールされています。

ハーフタイムには途中経過が入力され、反映されるためHPやアプリで試合経過を追うことが可能。何らかの理由で到着の遅れた選手も後半がスタートするまでに

試合終了後には試合の最終データを入力し審判と各チームの監督もしくはスタッフが試合経過や警告、得点などの記録に間違いが無いか確認後に保存。

その後試合データが協会管轄のHPに結果が反映される形になっています。


カタルーニャサッカー協会HP http://fcf.cat/


おわりに

スペインの育成の環境に身を置くことで感じる、この競技に対する底知れない情熱。

子供達が「選手」としてサッカーを学ぶ環境の整備を重要視し、サッカーを愛する多くの人々が長い歴史のなかで様々な角度から意見、議論することによってこのような環境を生んだのではないかと感じます。

それは今尚、現在進行形で修正、発展がされています。

サッカー先進国から学ぶべきもの、サッカーのレベルを実際に支えているものはこの「環境」への注力なのかも知れません。


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スーペルクラック編集部

スーペルクラック編集部

スペイン・バルセロナを拠点に活動。「本物のスペインサッカーをありのままに生き生きと伝えたい」そんな想いで日々コンテンツを更新する。ライター、サッカー監督、プレーヤー等、多岐にわたるスペイン在住邦人が執筆・編集。深くサッカーを学びたいあなたへ。

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