心理学:サッカーにおけるリーダーシップ
目次[非表示]
- 1.はじめに
- 2.監督の資質
- 3.リーダーシップのタイプ
- 3.1.権威的リーダーシップ
- 3.2.民主的リーダーシップ
- 3.3.共同的リーダーシップ
- 3.4.参考的リーダーシップ
- 4.まとめ
- 5.関連記事
はじめに
「指導者」はそれぞれが異なる特徴や性格を持ち、立場や環境が異なれば立ち振る舞いにも変化が生まれる。育成の指導者とプロを率いる指導者、ビッグクラブのチームを率いる指導者とできたばかりの街クラブのチームを率いる指導者。どの環境であっても誰もが情熱や誇り持ち指導に当たりますが、どのような環境でも通用する最高の指導法がある訳ではありません。
今いる環境で、自分が道を指し示し、その方向にチームを導かなければなりません。
重要な役割を担う最高責任者としてその環境、グループ、個人に対して自分が何を与えたいか、自分の行動や立ち振る舞いによって何を与えているのか知る必要があります。
自分が思うリーダーシップとは何か。何ができて何が不足しているか。
今回の記事では、サッカーにおけるリーダーシップのタイプについて紹介致します。
監督の資質
サッカー選手を指導する上で必要とされる資質は「能力」、「自己認識」、「自己肯定」、「権限」、「チームワーク」があげられる。これらの資質が揃ってこそチーム指導が行えます。
能力:指導者に求められる能力。グループをまとめるために必要なメカニズム、知識を持っている。リーダーシップ (見本になる)チームに関係する人々や機関(チームスタッフ、選手、クラブ)の意見を尊重し、良いものは全て取り入れることができる。
自己認識:自分を、環境や他の個人とは別の個人であると認識する能力を持つこと、そして自分の力、限界を知ること。自身の行動を批評できること。それに基づいて新たな解決策を練る。
自己肯定:自分の目標、自分の考えを尊重することをいいます。もちろん周りの人間の考えも尊重しますが、まずは自分のアイデアを信じれなければいけません。
権限:他に対して自己を主張する資格のことをいいます。監督にはグループを仕切る権限があります。
チームワーク:選手の育成において必要なものが欠けていないように、チーム内、もしくはクラブの関係者の協力を得る。
リーダーシップのタイプ
リーダーシップとはチームを統率し、チームの最大限のパフォーマンスを引き出す上で必要不可欠な資質です。監督の人格は指揮するチームの選手に反映され、それは試合に勝った時だけではなく、選手たちの日常からロッカールームの雰囲気、練習の一日一日や更に細かい部分にまで表れます。これらのファクターは各自、各選手の生活の質において重要であり、パフォーマンスに大きく影響を及ぼします。
では、リーダーシップにはどういったタイプがあるのでしょうか?自分のチームにはどのタイプが最も適しているのか?どれがチームを成功に近づけるのか?…
この他にも、チームを率いる上で監督が自問自答すべきことは山ほどあります。どのリーダーシップのタイプにもメリット・デメリットがあり、最も重要なことは様々なタイプを把握した上でその時々のチームの状況に応じ、その場面にあったリーダーシップを試みることです。良きリーダーとは、チームが必要とすること、チームの需要を常に把握できるリーダーを指します。
ここではそのリーダーシップのタイプの例を紹介していきます。
権威的リーダーシップ
このタイプのリーダーシップは義務を課すこと、支配的であることが中心となります。チーム内の秩序の乱れが目立ち、短期間で変化を要するときに使われることが多いタイプです。権威的リーダーシップの最大のデメリットは、選手のモチベーションの低下などが挙げられます。
民主的リーダーシップ
このタイプのリーダーは、選手たちの意見を聞いてから判断を下すことが主な行動の取り方になります。デメリットとなりうるのが、グループ内で意見が大きく分裂したときに起こる対立などが挙げられ、それに対処できる能力が問われます。
共同的リーダーシップ
チームの選手達を組織を統率するメンバーとして信頼し、彼らの判断や実行を尊重するのが共同的リーダーシップです。選手が負う責任も大きくなりますが、その分選手が下せる判断も多くなります。意思決定はグループによるものとなります。選手側からくる意見、情報などをしっかり考慮し、できる限りネガティブな意見や状況を作らないことを心がけます。
参考的リーダーシップ
模範となる振る舞いで、選手達の手本となることによってチームを率いることを参考的リーダーシップといいます。選手達はリーダーが下す判断やその意図をしっかり理解し、惹きつけられ、行動します。選手が負うことのできないグループの責任は基本的に全てリーダーが背負います。グループの中には大きな要求が存在し、リーダーはその要求に応える大きな義務を背負います。そのハイレベルな義務を果たすためにグループ全体を巻き込み、集団として自分達に要求していきます。
以上のようなリーダーシップが挙げられます。
(※各タイプで例として使用している監督の画像はあくまで参考です)
まとめ
あなたは記事の中に出てきた、どのタイプのリーダーシップに当てはまるでしょうか?
これらに全く当てはまらない、独自のリーダーシップでチームを導いていますか?
もしくは状況に応じて、あなたのチームにあったリーダーシップを使い分けていますか?
ある日突然、選手たちが抱えている問題や疑問に対して反応や表現をしなくなること、それはリーダーシップの欠如によって現れる症状のひとつとして捉える事ができます。
選手やスタッフが下す判断を尊重しつつ、もし自分の分野ではなくてもそれに対する疑問を抱くことを恐れてはいけません。リーダーとして最終的に判断を下すのは自分なので、それに至るチームスタッフの判断や意見をしっかり理解する必要があります。良きリーダーは重要な決断や判断を委任しません。責任をもってチーム、グループに最も適した判断を下せるのが真のリーダーとしての資質ではないでしょうか。
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