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【現地サッカー監督コラム】子供が変わる!大人の振る舞い3原則

教師や指導者をしている方々なら分かると思いますが、子供は「変わる=大きく成長する」瞬間があります。

ただ子供が大きく成長してほしい。人間として新たな意識で日々の習慣を身に付けてもらいたい。といったコーチや教師と想いは実らず・・・全く逆の効果を生むことも多々あります。

沢山の愛情を持って育ててきて、ぶつかって、何度も信頼しては裏切られて。

そんな繰り返しの中で、子供たちに関わる大人たちは悩んでいるのだと思います。

そこで、今回は「子供が変わる大人の振る舞い」について考えていきます。

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①子供を変えることはできない

まず「大人が子供を変える」ことはできない。この事を頭に入れて置かなければなりません。「子供は変わります」が「大人は彼らを変えれません」

まず、私たちが出来ることは「子供が尊敬できる大人になること」です。

人は誰かに強く憧れた時、変わります。変わろうとします。

「時間を守れ」「人に優しくしろ」「助け合いなさい」「話を聞きなさい」「勉強しなさい」「挨拶しなさい」「謙虚になりなさい」「人一倍努力しなさい」

って言っている大人が「子供の話を聞いていない」「日々勉強していない」「努力していない」「謙虚ではない」「挨拶ができない」・・・私たちは「人間としてどうあるべきか」を分かっているはずなのに、それができていません。それは人間は完璧ではないから仕方のないことかもしれません。でも「子供が変わる」には「まず自分が変わろうとしているか」が大事だと思っています。

子供が変われないのは、大人が変われないから。

子供を変えたかったら、まず大人が変わる。

ただ人間は皆弱い。だから子供も大人も支え合って共に変わり続けていく必要があると感じます。

大人が子供に言ったことは、まず大人ができていなければ!!!

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②絶対に諦めない

「こいつは何やっても変わらない!!」と思った事が何度もあります。

けど、そう思った瞬間にその選手は「僕を信頼することは絶対にない」今はそう思えます。

チームのルールを守れない選手を持った時の話をします。彼は僕のチームに入るまで、規律やルールにこだわりのないチームに所属していました。練習や試合に何かと理由をつけては遅れてくる事ばかりでした。両親は彼にチームの一員として規律を守る姿勢を身に付けて欲しいと思っていました。ただ、僕が両親とミーティングを設けた時には彼らがすっぽかしていました。「子供を変えたければ、大人が変わらなけばならない・・・」ここで、両親がそれなら子供もそうなるだろうと思ってしまえば、そこまでです。

ここで諦めない!これが重要です。

様々な方法を考えました。

  • 一緒に帰って話を聞く。
  • 毎週ミーティングする。
  • 放っておく→観察はします。
  • 親と3者面談する。
  • 本気で怒る・叱る。
  • 出来た時は沢山褒める。
  • サッカーノートを提出させる。

それでも変わりません。練習に遅れてきたり、無断欠席したり。

しかし、彼が突然変わる瞬間がきます。

【チームの4人のキャプテン達と彼で話し合いの場を設けた】その直後でした。

何を話したのかは分かりません。だけど、彼にとって全てを変えるキッカケとなった出来事となりました。その後の2ヶ月間、全ての練習に参加し、最後の1ヶ月は僕のチームの重要な選手へと変わっていました。(もともとサッカーセンスはありました)

「何が人を変えるか」は、分かりません。そして、多くの試みは失敗に終わります。僕が彼から学んだのは、「諦めない」ことでした。やめない。しつこく。でも、いろんな角度から愛を持って接し続ける事が大切なのではないでしょうか。

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③子供を子供と思わない

これは私を含めて、多くの大人達が出来ていません。我々大人達は、自分が子供だったことを忘れています。子供の時、親や教師・大人にされて嫌だったことを、今大人になって子供達にしているケースが多々あります。

それは、子供を子供と思って接しているからです子供を「一人の人間」として対等の立場で接することを頭に入れておく必要があります。

例えばこんなケースがあります。

  • 電車でうるさくしている子供達に対して親が「うるさくしない!」「静かに!」
  • ミスばかりする選手に対して指導者が「なんで言われたことが出来ないんだ?」「集中しろ!」
  • 子供が話している時に途中で話を遮る大人「今日は◯◯君と遊んで、それで・・・」「そんなことより、勉強したの?」
  • テストで悪い点数をとったら「サッカーはやめなさい!」

これらの全ての言葉と態度は「大人のエゴ」でしかありません。これらを「同じ大人にすれば・・・」その関係性は必ず崩れます。ただ子供なら「大人の言うことは取り合えず、聞きます」だから、高圧的で表面的で、なりより「だめ!」と言うネガティブ感情が先に来ます。

  • 「うるさくしない!」「静かに!」

子供はちゃんと説明すれば分かります。一度でわからなくても説明すれば分かります。

理由も無しに人に命令されて、良い気持ちになる人はいないと思います。

なぜ電車では静かにする必要があるのか?その理由を説明する過程を大切にするべきです。

  • なんで言われたことが出来ないんだ?」「集中しろ!」

子供は大人と同じく、ミスしたいなんて持っていません。

ミスをした人を責めるのは誰でも出来ます。そんな時こそ励ましの言葉の一つくらい言えない心の狭い人間に指導する資格はありません。

  • 「今日は◯◯君と遊んで、それで・・・」「そんなことより、勉強したの?」

大人だって、人の話を遮る人間とは付き合いたくないはず。子供だってそうです。

  • 「サッカーをやめなさい」

何かが欲しくて、何かを奪う。そんな取引きは、手っ取り早く成果を出したいだけです。まず、テストの点数は人生の全てではありません。それでも、テストの点数が気になるなら「まず大人が新しい何かを学ぶこと始める方が良いのでは?」と思います。別に難しいことでなくても良いですが、子供と一緒に学ぶ姿勢を見せる事が大切です。(それでテストの点数が上がるかは分かりませんが、子供は僕らの背中を見ています)

まとめ

そんな積み重ねが「大人と子供」の関係を歪めたものにしていく・・・。

だから子供を子供と思わない。あなたが誰かにして欲しいと思う事を、まず自分から誰かにしてあげる。僕は、誠意を持って、リスペクトして、愛を持って、謙虚に、彼らに向き合うようにしたいです。

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栗本悠人

栗本悠人

スペイン協会公認サッカー指導者ライセンスレベル3所持(日本のS級相当)スペインの現地クラブで小学生年代から高校生年代まで全カテゴリーの監督を歴任。大学時代は人間性の教育の研究に従事し、小学校教員免許を所持する。教育学、経営学、心理学をヒントに、サッカーの競争原理と育成の統合を目指している。スペクラ創設者&スーパーアドバイザー。 

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