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「偽5バック」スペインで大流行!?サッカーの”新”守備戦術とは?


目次[非表示]

  1. 1.3バックの弱点(なぜサッカーでは4バックが主流か?)
    1. 1.1.①サイドチェンジ・ロングボールに対する守備が苦手
    2. 1.2.②ウイングバックの負荷(ウイングバックの能力重視)
    3. 1.3.③カウンターアタック対する守備に問題
  2. 2.5バックの弱点(なぜサッカーでは4バックが主流なのか?)
    1. 2.1.①攻撃の厚みが減る
    2. 2.2.②ウイングバックの負荷(ウイングバックの能力重視)
    3. 2.3.③前線からのプレスがかけにくい
    4. 2.4.④カウンターアタックを仕掛ける際に問題
  3. 3.3バック・5バックの利点
  4. 4.3バック・5バックの融合!ハイブリッド型新戦術「偽5バック」
    1. 4.1.ウイングバックが中盤へ(スライド型)
    2. 4.2.右or左センターバックが中盤へ(スライド型)
    3. 4.3.中央のセンターバックが中盤へ(システム変形型)
  5. 5.理解度チェック
  6. 6.おわりに
    1. 6.1.関連記事
    2. 6.2.関連動画
    3. 6.3.【理解度チェックの回答例】



はじめに

サッカーフォーメーションは4-4-2・4-2-3-1・4-3-3が主流ですが、「少し見飽きたなぁ」という意見も聞こえてきそうですね。
《4-3-3についてはこちら》
【解説】サッカーフォーメーション4-3-3の長所・短所とシステム変化


多くのチームが4バックを選んで戦うことは、3バック、または5バックにおける「攻守バランス調整の難易度」に関係しています。

多くのチームが4バックをチョイスするため、選手が4バックに慣れている点。

攻守のバランス調整の難易度が高い点。

2点を考慮した場合、4バックのフォーメーションがファーストチョイスとなります。

《4-4-2についてはこちら》
【解説】サッカーフォーメーション4-4-2の短所・長所とシステム変化


しかし4バックよりも3バックや5バックの方が機能する選択肢を、削ることはできません。

例えば、

運動量の多いサイドバックがいるチーム

能力の高いセンターバックが3人以上いるチーム

中央レーンで能力を発揮するタイプの選手が多いチーム

ウイングの選手がいないチーム

個々の能力では劣っているが、カウンターアタックやストーミング戦術で威力を発揮するチーム

(ストーミング戦術についての解説記事はこちら)→https://www.footballista.jp/column/49105 CL戦術総括:加速する攻撃優位「ストーミング」が生み出すカオス フットボリスタ 2018/09/18

【あわせて学ぼう!】【8人制サッカー戦術解説】最強ストーミング戦術 (ダイヤモンド型331)


上記のようなチームには3バックや5バックがフィットする可能性があります。

今回ご紹介する「偽5バック」は、従来の5バックのイメージをくつがえすもの。全くもって、守備的な戦術ではありません。

むしろ、最大威力を発揮させれば、3バックと5バック。さらにストーミングとポジショナルプレーを融合させたハイブリット戦術なります。

記事の最後には、理解度チェッククイズがあります。
ぜひ、挑戦してみてください。

3バックの弱点(なぜサッカーでは4バックが主流か?)

①サイドチェンジ・ロングボールに対する守備が苦手

サッカーにおいて4バックが主流な理由。

それはピッチの横幅70m前後を「4人のラインでカバーすること」が、最も効率的だからです。

4バックの場合は、1人約17mのスペースをカバーします。しかし、3バックになると1人約23mのスペースをカバーすることになります。

つまり1人あたり6m以上のスペースを余分にカバーしなければならず、サイドチェンジなどのサイド攻撃に弱くなります。

またディフェンダーの人数が少ないため、背後のスペースに蹴り込まれるロングボールに対しても対応が難しくなる点も考慮すべきです。

②ウイングバックの負荷(ウイングバックの能力重視)

3バックではチームに横幅を与える選手が、ウイングバックのみになります。1人でサイドレーンを駆け上がり、最終ラインまでプレスバックする必要があります。

4バックではサイドバックとウイングで、サイドレーンにおける攻撃と守備の役割を分担することが可能です。

【ウイング注目】
【スペイン流サッカーポジション別役割まとめ】ウイング(守備のタスク)


③カウンターアタック対する守備に問題

「ピッチの横幅との関係」

「ウイングバックにかかる負荷」

といった弱点を考えれば、3バックのカウンターアタックに対する守備の脆さも否定できません。

攻撃時のリスクマネージメントを怠れば、ボールを失ったとき、ウイングバックの背後にあるサイドのスペースを使われる可能性もあります。

【あわせて学べる!】【戦術解説】カウンターアタックを打ち消す守備の基本5つの手順


5バックの弱点(なぜサッカーでは4バックが主流なのか?)

①攻撃の厚みが減る

5バックは「格上チームに対する守備戦術」として長く使われてきました。

5バックの問題は、後ろの選手が増える分、前線の枚数が減る点にあります。組織攻撃になったとき、守備に追われたウイングバックの体力が、追いつかない場面も出てくるでしょう。

そうなったとき、前線の選手の「個の打開力」に頼った攻撃になりがちです。

②ウイングバックの負荷(ウイングバックの能力重視)

3バックの場合と同じ理由

③前線からのプレスがかけにくい

守備選手が多くなり、前線からプレスをかけづらく、ストーミング戦術には向きません。守備ブロックを下げてからのカウンターアタックにより効力を発揮します。

④カウンターアタックを仕掛ける際に問題

5バックでは、「しっかり守りボールを奪ってカウンター」が基本となります。しかし、前線の選手の人数が少ないため、カウンターアタックの流れをオーガナイズしていない場合、迫力ない攻撃になりがちです。


3バック・5バックの利点

3バック(超攻撃的)

①攻撃の枚数が増える

②中央スペースに人数が増える。(ポジショナルプレーに適する)

③前線からのプレスで威力を発揮する


5バック(超守備的)

①守備の枚数が増える

②カウンターアタックに対する守備に強い

③守備ブロックの形成で威力を発揮する


3バック・5バックの融合!ハイブリッド型新戦術「偽5バック」

偽5バックとは、「守備プレッシングを5バックの形に見せかけた4バック」にする戦術です。

偽5バック戦術がうまくチームに浸透すれば、

【3バック攻撃時のポジション優位性+3バック守備時の前線からのプレッシングの強み+5バックDFラインの強固な守備ブロック形成】が実現します。

以下偽5バックのプレッシングの種類を紹介します。


ウイングバックが中盤へ(スライド型)

ベーシックな偽5バックの用法です。3センターバックと2ウイングバックで5バックを形成します。

ポイントは「敵サイドバックへボールが入ったとき誰がプレッシャーにいくか」です。
この場合は、中盤の選手ではなくウイングバックが敵サイドバックにプレッシングします。この瞬間、5バックから4バックへと変化することによって、前線からのプレスが可能です。またDFライン背後へのロングボールの対応にも安定感が生まれます。


右or左センターバックが中盤へ(スライド型)

最近スペインで主流になりつつある偽5バックの用法です。セビージャのパブロ・マチン監督が得意としています。

まず、3センターバックと2ウイングバックで5バックを形成します。

相手サイドバックへは、中盤の選手がプレッシング。(5-3-2の場合は、インサイドハーフの選手がプレス。5-2-3の場合は、ウイングの選手がプレス)

このとき、ボランチが前方スペースを埋めます。そのボランチが出たスペースを埋めるタスクは、サイドのセンターバックの役割となります。


中央のセンターバックが中盤へ(システム変形型)

フォーメーションでは5バックですが、守備システムを4バックに変えてしまう戦術です。例えば、5-3-2フォーメーションから、守備時にセンターバックを1人上げて、4-4-2へシステムチェンジするような場合です。


理解度チェック

5-2-3フォーメーションで4-2-3-1フォーメーションと対戦する場合、「偽5バック」の3つのプレッシングパターンを考えなさい。
(回答例は一番最後に記載してあります)


おわりに

4バックでチームの120%が出ていないと考えている方は、偽5バックの戦術を試すと良いかもしれません。

しかし、この戦術はチームに落とし込むために膨大なエネルギーを消費します。プレーモデル作成と、戦術を落とし込むプランニングを慎重に行いましょう。

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関連動画

【理解度チェックの回答例】

※ウイングバックが中盤へ(スライド型)

※右or左センターバックが中盤へ(スライド型)

※中央のセンターバックが中盤へ(システム変形型)

栗本悠人

栗本悠人

スペイン協会公認サッカー指導者ライセンスレベル3所持(日本のS級相当)スペインの現地クラブで小学生年代から高校生年代まで全カテゴリーの監督を歴任。大学時代は人間性の教育の研究に従事し、小学校教員免許を所持する。教育学、経営学、心理学をヒントに、サッカーの競争原理と育成の統合を目指している。スペクラ創設者&スーパーアドバイザー。 

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