【バルセロナで戦うサッカー監督コラム】指導者に求められる覚悟
はじめに
監督とは、常に競争の世界に身をおいています。
サッカー雑誌でよく見る、『海外では競争が厳しい』といったタイトルをよく見かけます。
実際に、スペインでも選手や監督の覇権争いは、怖気づくほど欲をむき出しにした戦いです。
しかし、その戦いに勝ち進まなければ、監督を続けることはできません。
激しい争いに勝ち抜くには、“他人に評価されなくてはなりません”。
人に評価されることで、人間として、監督として、さらに成長できるステージへ引き上げてもらえます。
そこで重要なことは、他人からの評価に真摯に向き合うこと。
そこから出発した学びから、人間として成長することで、選手たちの信頼を得る。
その繰り返しで、監督として成長します。
今回は、私がスペインでの監督経験を通して学んだ「指導者としてレベルアップするために大切なこと」についてお話します。
監督たちの競争社会
私自身スペインで監督として活動するようになって、4年になります。
スペインへ渡る前までは、
『とりあえず、スペインでライセンス学校へ通いライセンスを獲得しよう。そうすれば、スペインのサッカーライセンスという”箔”がつき日本でも指導者ができるだろう』
という甘い考えで過ごしていました。
しかし、この考えはバルセロナに来てすぐ変わりました。
詳しい理由はこちら→【バルセロナで戦うサッカー監督コラム】監督としてピッチに立つ重要性
スペインに来て1年で、幸運にもU9の監督としてオファーをいただきました。
ライセンススクールと並行して、ピッチで「監督としての腕試す場」があったこと。
それは、自分の実力の足りなさを実感できる貴重な体験でした。
なぜならば監督になった途端、自分の名前をブランド化する「競争の世界」に飛び込む必要があるからです。
スペインでは、その競争に勝ち進まなければ、監督を続けることはできません。
そして、この『猛者が集う戦い』を勝ち抜くには、常に監督として成長し続ける必要があります。
“他人に評価されること”
次のステージへ進み、成長を続けるために欠かせない要素です。
他人の評価から監督は逃げることはできません。
もし逃げることがあれば監督としての成長度は著しく低下するでしょう。遅くなるどころか、衰退してしまう可能性もあります。
監督と言う仕事は、自己満足で成り立つわけではなく、他人に評価され。その評価を受け入れるところからスタートします。
常に人から評価される環境は選手と同じ。「小山の大将にならない」と、強く頭に刻み込む。
競争できる環境に自らを置き、常に「自分の世界の正解が、本当に正解か」を自問自答するように意識する必要があります。
評価される覚悟
私は、初めて監督をしたチームが負け続けて、不安な日々が続いた経験があります。
「明日、首を切られるかもしれない」
「保護者や選手がバラバラになり、チームが壊れるかもしれない」
「日本人の監督として、スペインで評価を落とすわけには行かない」
葛藤や不安から、評価に対して向き合う気持ちが芽生え始めました。
正直、周りからのアドバイスや注意は耳が痛いこともあります。しかし、その評価を受け入れ、全て自分の責任だと昇華する過程が必要でした。
そして、今も自分自身に対する評価に真摯に向き合うことを意識しています。
レベルが高くなればなるだけ結果がダイレクトに評価に変わっていきます。
結果が出ないとき、
これだけ仕事をやっているが、結果が出ない。周りが評価してくれない。自分の素晴らしい仕事を評価できる能力のある人間が周りにいない。等…
自分の心の矢印を「他人」に向けるほうが楽です。しかし、それでは監督は務まりません。
厳しいかもしれませんが勝負の世界とはそういうものであり、
評価のない人間にはそれなりの場所しか用意されない。それが現実です。
最後に
これからサッカーに携わる若い指導者の皆さんへ、私の経験を通して伝えたいがあります。
それは、まずは監督をして責任のある中で、評価される立場に身をおいてください。
年代・レベルは、関係ありません。大事なことは、選手・保護者・クラブから評価されることです。
きっと、責任の大きさに気付き、その責任を果たそうと奮闘するでしょう。
もう一点は、人の評価から逃げないでください。誰も好んで人から厳しい評価なんかされたくはありません。それでも監督であり続ける以上、他人からの評価が全てだと、自分で納得する日がきます。
私自身も、まだまだ評価されることの難しさを感じています。
しかし、他人の評価に挑み続けることで、指導者としてのクオリティが上がっていくと信じています。
挫けて、立ち上がって
その繰り返しが、最終的に自分自身の人間力を上げて、他人も納得する重みのある大きな背中へなると、信じています。そのために、僕も日々精進しています。
ともに、頑張っていきましょう。
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