スペインで活躍する女性サッカー指導者が考えるサッカー選手のモチベーション管理法①
目次[非表示]
- 1.モチベーションのもつ9つの要素
- 2.モチベーションUP要素
- 3.1.達成感
- 3.1.<達成感を感じるときの参考例>
- 3.2.<指導ポイント>
- 4.成長の認識
- 4.1. <成長の認識を得るときの参考例>
- 4.2. <指導ポイント>
- 4.3.褒める際に大切なポイント
- 5.まとめ
熱中するために最も大切な要素の一つ、モチベーション(【西】Motivación)。
始めはモチベーションが高くても、常に自分を奮い立たせ、意欲を高く保ち続けることは難しいことがあります。
それは大好きなサッカーをしている場合でも例外ではありません。
『サッカーは大好きだけど、今日はやる気がでないな』
サッカーチームを率いている指導者は、選手のモチベーションの浮き沈みに頭を悩ますことが多々あります。
『選手たちのモチベーションの波を少なくするために良い方法はないか』
このような悩みが選手や指導者には付きものですよね。
そこで今回の連載では、私が考える「選手のモチベーションを上げる9つの方法」をご紹介します。
【合せて読みたい!指導者へのオススメ記事】
【現地サッカー監督コラム】人を導くリーダーになる指導者の4つの心構え
モチベーションのもつ9つの要素
モチベーションには、モチベーションUPの要素が4つ、DOWNの要素が5つ。
合わせて9つ要素があります。
この結果は私が大学時代に研究して導き出しました。
研究方法はまずモチベーションに関係すると考えた文章を作り、それに対して【モチベーションが上がるか下がるか】数値でアンケートをとります。
そのアンケートを分析ソフトにかけ、モチベーションに関係する言葉を洗い出しました。
その言葉を使い再びアンケートを作成し調査します。
その結果を分析ソフトもう一度かけ、モチベーションUP・DOWN要素の因子を抽出しました。
その研究の結果、モチベーションUP要素が4つ、DOWN要素が5つ明らかになりました。
下記の図に記されている内容がモチベーションがもつ9つの要素です。
今回はモチベーションUP要素を2回、モチベーションDOWN要素を2回、合計4回に分けてお伝えしたいと思います。
そしてモチベーションUP・DOWN要素だけではなく、他者に対するアプローチ(指導者として選手へのアプローチ)に対するアドバイスを紹介します。
自身が選手をされている方・指導者の方、両者にとってモチベーションを高めて少しでも充実した時間になるためのヒントになれば幸いです。
モチベーションUP要素
本記事は、モチベーションUP要素についてです。
モチベーションUPの要素は4つあります。今回は、2要素を紹介します。
1.達成感
1つ目は「達成感」。
「達成感」とは、自分で成長を感じたり、成果の披露をしたりしたときに得られるものです。
<達成感を感じるときの参考例>
・自分が頑張っている姿を他のメンバーに見てもらったとき
・目標達成したとき
・特別な試合で勝ったとき
<指導ポイント>
・目標を設定する(長期・中期・短期)
・チーム目標だけでなく、個人に見合った目標の設定が必要。
・達成感低下の防止のために練習テーマを明確に伝える。
・試合を設定し、達成ができる場を多く作る。
Ex)ドリブルを意識して練習してきた。練習試合では選手が思い切ってドリブル突破できるようにベンチから指示。「失敗してもいいぞ!思い切って前に出ろ!」
・良かったプレーのビデオなど、視覚でわかるものを記録しておき、選手と共に見て振り返りや評価を行う。その後、また新たな目標を設定する。
成長の認識
2つ目は、「成長の認識」です。これは、他者からの評価を実感したときに得やすく、自分で感じることは難しいものです。
<成長の認識を得るときの参考例>
・褒められたとき
・認められたとき
・間接的に褒められたとき
・自己成長を認識したとき
<指導ポイント>
「褒める」にも種類があります。
1.直接的に褒める…指導者から直々に評価を伝える。
2.間接的に褒める…本人のチームメイト(先輩や友達)から間接的に評価を伝える。
この場合、直接的と間接的の両者を同時に行うこともできます。
ex)「さっきベンチでコーチがうまくなったなってつぶやいてたよ」などと、チームメイトから言われることで、コーチとチームメイトから認められるダブル効果。
褒めるときには、上記のような「 評価の伝達 」方法や、「タイミング」と「状 況」も考慮する必要があります。
褒める際に大切なポイント
タイミングと状況
【タイミング】
褒めるタイミングのポイントは、選手が意識して取り組んで、達成できたその瞬間がベストです。そうすることで、「コーチはしっかり自分のことを見てくれている」という選手の満足感にも影響するからです。
【状況】
褒める状況のポイントは、「 クローズドスタンス 」。少し真面目なコーチの姿勢が効果的とされています。また選手の耳にしっかりと入るよう、あえてきちんと整列させた時に伝えることが良いでしょう。明るくラフな雰囲気のまま褒めてしまうと、雰囲気で伝えたと感じてしまう可能性があるので、少し緊張感のある雰囲気を作り出し、褒め始める方が好ましいでしょう。
まとめ
今回は、モチベーションが上がる瞬間の2の要素を紹介しました。
「達成感」と「成長の認識」
似ているような2つですが、それぞれのポイントを押さえてみると、「達成感」は自分の感覚に起因する内発的モチベーション。「成長の認識」は他者の評価に起因する外発モチベーションになります。それぞれに対してアプローチをし、モチベーション高く物事に取り組んでいけるお手伝いが少しでもできたら嬉しいです。
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