編集長直伝!3種類のポゼッション|スペインサッカー練習メソッド徹底図解
目次[非表示]
- 1.はじめに
- 2.トレーニングセッションとしての【ポゼッション】の定義
- 3.【ポゼッション】における目的
- 4.「シチュエーション設定メソッド」と「シチュエーション非設定メソッド」
- 5.ポゼッションタイプに合わせたフォーカスすべきコンセプト一覧図
- 6.シチュエーション設定ボールポゼッション
- 6.1.フエゴ・デ・ポジシオン(※直訳=ポジションプレー→ポジション付きボールポゼッション)
- 6.2.フエゴ・デ・ポジシオン・エスペシフィコ(※直訳=スペシフィックポジションプレー→プレーモデル特化型ポジション付きボールポゼッション)
- 7.シチュエーション非設定ボールポゼッション
- 8.理解度チェック
- 9.おわりに
- 9.1.理解度チェックの解答
- 9.2.関連記事
はじめに
ボールポゼッション。
サッカートレーニングの王道とも言えるこのセッションメソッドは、プレーモデルの落とし込みに欠かかせないでしょう。
ただ一言でボールポゼッションといっても、単にボールを保持するだけの目標・目的では、効率的にアイディアを浸透させることはできません。
スペインではボールポゼッションが、3種類に分類されます。
さらに「それぞれのポゼッションタイプに対して、何の能力を・どのような状況で、何を目的に伸ばすか」が、明確に示されています。
チームにプレーモデルを共有する有効ツール「ポゼッション」
本記事では、その理解を深めるために、図を用いて徹底解説します。
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トレーニングセッションとしての【ポゼッション】の定義
【ポゼッション】とは、2チームが「ゴールに得点するという目的なし」にボール保持を競うトレーニングセッションである。Pol,R.(2009)「ボールホゼッションは、相手ゴール方向へ前進するための1つのツールであり、それ自体が目的となってはいけない。」彼の言葉から、ボールポゼッションの目的は以下であると定義する。
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【ポゼッション】における目的
-相手ラインの背後でボールを受けられる選手へのパスによって、守備ラインを突破する。
-「今あるスペール」を使うパス、運ぶドリブル、突破のドリブル。それらのアクションによって守備ラインの背後に新たに生まれる「未来のスペース」を活用する。
-相手ゴール方向へ前進する質的優位性、位置的優位性、数的優位性を見つける。
→バルサの場合、ボールポゼッションによって・・・
・メッシを見つける=質的優位
・ライン間のスペースでボールを受ける=位置的優位性
・サイドで2vs1の状況を生み出す=数的優位性
「シチュエーション設定メソッド」と「シチュエーション非設定メソッド」
トレーニングセッションとしての【ポゼッション】は、常に複雑な状況判断が求められる。システミックメソッドとグローバルメソッドに属するセッションタイプといえる。システミックメソッドのポゼッショントレーニングは、状況設定がある。逆に、グローバルメソッドのポゼッショントレーニングは、状況設定がない。
①システミックメソッド→試合の状況設定あり=選手のポジション設定あり=シチュエーション設定メソッド
②グローバルメソッド→試合の状況設定なし=選手のポジション設定なし=シチュエーション非設定メソッド
※「シチュエーション設定メソッド」と「シチュエーション非設定メソッド」についてより詳しく知りたい方へオススメ記事↓
【サッカートレーニングメソッド】3つメソッドと5つのセッションタイプ
ポゼッションタイプに合わせたフォーカスすべきコンセプト一覧図
シチュエーション設定ボールポゼッション
シチュエーション設定ボールポゼッションは、システミックメソッドに属するセッションタイプです。実際のゲーム状況に近づけたトレーニングを設定。つまり、自チームのプレーモデルと関係性があり、複雑な状況判断を要求されるセッションタイプです。
個人戦術・集団プレー戦術・チーム戦術をプレーモデルに接続させてトレーニングするため、攻撃方向をつける必要があります。※攻撃方向がなければ、ポジションを決めたとしても、守備側のオーガナイズがなくなるため、実際の試合状況とはかけ離れてしまいます。
フエゴ・デ・ポジシオン(※直訳=ポジションプレー→ポジション付きボールポゼッション)
個人戦術・集団プレー戦術の修正にフォーカスする場合は、ラインやグループを分割してトレーニングします。プレーモデルとの接続はあるが、人数が少ないため、選手が受け取る情報量を少なくできる。トレーニングの難易度を落とし、プレーモデルを落とし込む際の導入部分としても使用できます。
※以下のように自チームプレーシステムに合わせて、プレー状況を切り取ってトレーニングする。
フエゴ・デ・ポジシオン・エスペシフィコ(※直訳=スペシフィックポジションプレー→プレーモデル特化型ポジション付きボールポゼッション)
集団プレー戦術やチーム戦術、プレーモデルの落とし込みにフォーカスする場合は、できる限りチーム全体のポジションを保ってトレーニングします。プレーモデルとの接続が深く、人数が多いため、選手が受け取る情報量は多くなります。トレーニングの難易度が上がるので、プレーモデルを落とし込む最終段階として使います。
※以下のように自チームプレーシステムに合わせて、大きな枠組みでトレーニングします。
シチュエーション非設定ボールポゼッション
コンセルバシオン(※直訳=保持→ポジション無しボールポゼッション)
シチュエーション非設定ボールポゼッションは、グローバルメソッドに属するセッションタイプです。実際のゲーム状況をイメージしたセッションタイプではありません。選手のポジション設定がなく、自チームのプレーモデルと関係性が少なくなります。
個人戦術・集団プレー戦術・チーム戦術をプレーモデルに接続する必要性がないため、攻撃方向をつけても、つけなくても問題ありません。
理解度チェック
下図、3つのトレーニングセッションは、全て【ポゼッション】である。図から情報を読み取り、「フエゴ・デ・ポジシオン」「フエゴ・デ・ポジシオン・エスペシフィコ」「コンセルバシオン」のうち、どのタイプのポゼッションかを考えなさい。
【戦術トレーニング】ペップ・グアルディオラお得意のボールポゼッション
おわりに
ポゼッションタイプをトレーニング目的に合わせて使い分ける。プレーモデルの落とし込み・プレー原則の導入・個人戦術の応用。さまざまな目的に柔軟に対応できるポゼッションは、指導者が使いこなせれば、自チームの成長へつながります。
「なんの目的のために、なぜそのオーガナイズを選ぶか」を意識し、ピッチで試してみてください。
理解度チェックの解答
【図1】=フエゴ・デ・ポジシオン【図2】=コンセルバシオン【図3】=フエゴ・デ・ポジシオン・エスペシフィコ
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