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知らなきゃ損!スペイン発・世界サッカーのトレンド【アシンメトリー戦術】前編


目次[非表示]

  1. 1.はじめに-アシンメトリー戦術とは?-
  2. 2.モダンサッカーへの歴史
  3. 3.-ゾーンとレーン-モダンサッカーにおけるアシンメトリー戦術の発生
    1. 3.1.FCバルセロナ組織攻撃におけるゾーン毎のポジション配置
      1. 3.1.1.【FCバルセロナ組織攻撃 ゾーン1】
      2. 3.1.2.【FCバルセロナ組織攻撃 ゾーン2】
      3. 3.1.3.【FCバルセロナ組織攻撃 ゾーン3】
    2. 3.2.FCバルセロナに対するアトレティコ・マドリード組織守備時のゾーン毎とプレッシング
      1. 3.2.1.【アトレティコ・マドリード組織守備 ゾーン1】
      2. 3.2.2.【アトレティコ・マドリード組織守備 ゾーン2】
      3. 3.2.3.【アトレティコ・マドリード組織守備 ゾーン3】


はじめに-アシンメトリー戦術とは?-

ヘアスタイルでよく耳にする言葉「アシメ(アシンメトリー)」。

実は世界のサッカーでもアシンメトリーを取り入れた戦術がトレンドになっています。

アシンメトリー(【英】asymmetry)の意味は、日本語で「左右非対称」。シメトリー(【英】symmetry)「左右対称」の対義語です。

アシンメトリー戦術とは、組織攻撃・組織守備のシーンにおいて『左右非対称』にチームがアクションを起こす戦法を指します。


モダンサッカーへの歴史

1860年代にFA(フットボールアソシエーション:サッカー協会)が設立されて、サッカールールの統一化が図られます。協会が設立された当時、サッカーは組織や規律が少なく「カオス」の状態でした。

1920年代になって「オフサイド」のルールが適応され、それに合わせてさまざまなフォーメーションが生まれます。この時代「3-2-3-2・M-W型」が流行しました。アタッカーとディフェンダーが明確に区切られた配置です。チーム全体の役割が分かりやすいフォーメーションが好まれました。

1958年、ブラジルがワールドカップで初優勝。「4-2-4フォーメーション」が生み出す「位置的優位性」と、「個の融合」で破壊的な攻撃力を発揮しました。4バックを先駆けて使い始めたブラジル代表。3バックで守り2トップで攻めるチームは、ブラジルの4トップ・4バックフォーメーションに手を焼きました。

それに対抗するように生まれた戦術が「カテナチオ」「リベロ・スイーパー」です。破壊的な攻撃を、組織的な守備で防ぐ「カテナチオ」。最終ラインの背後を掃除するリベロが注目されました。この頃にドイツの皇帝ベッケンバウアーが活躍。ここで守備戦術の進化が加速します。

あわせて読みたい!【守備戦術】
「偽5バック」スペインで大流行!?サッカーの”新”守備戦術とは?

守備戦術が急速な進化を遂げた後、オランダのスーパースターであるヨハン・クライフが「トータルフットボール」で世界に衝撃を与えます。【攻撃と守備を表裏一体と捉え、チーム全体が動く】チーム戦術としての「パスワーク」「プレッシング」概念の登場です。

しかしトータルフットボールは個人の質で劣るチームが行うには高度な戦術でした。そこで自陣でパスを回して奪われる危険が伴う「パスワーク」を捨て、「プレッシング」だけにフォーカスするチームが現れます。サッキが率いたACミランがその代表例。「ゴールを守る守備」ではなく「ボールを奪う守備」へと変化しました。これがモダンサッカーにおける「ハイプレス」の始まりでした。

―クライフが目指したトータルフットボールは「パスワーク」から発展したプレーモデル―

―サッキが目指したハイプレスは「プレッシング」から発展したプレーモデル―

2人の意志は後世に受け継がれます。

パスワークはFCバルセロナ時代のグアルディオラ中心に、「ポジショナルプレー」に昇華

プレッシングはドルトムント時代のクロップ中心に、ゲーゲンプレッシングから「ストーミング(ハイプレス+ショートカウンター)」へ昇華

これがモダンサッカーへの歴史的変遷です。

あわせて学ぼう!【戦術トレーニング】ペップ・グアルディオラお得意のボールポゼッション


あわせて見たい!ストーミング戦術動画

※参考文献【2017戦術の教科書 サッカーの進化を読み解く思想史|ジョナサン・ウィルソン (著), 田邊雅之 (著)】


-ゾーンとレーン-モダンサッカーにおけるアシンメトリー戦術の発生

モダンサッカーでは、チームとしてオーガナイズ(攻守における共通認識)が欠かせない要素となりました。組織化は更に発展し、ゾーンよって「プレーヤーの配置(ポジショナルプレー)」「プレッシング」を変更する必要性が生まれます。例を挙げて説明します。

FCバルセロナ組織攻撃におけるゾーン毎のポジション配置

【FCバルセロナ組織攻撃 ゾーン1】

【FCバルセロナ組織攻撃 ゾーン2】

【FCバルセロナ組織攻撃 ゾーン3】


FCバルセロナに対するアトレティコ・マドリード組織守備時のゾーン毎とプレッシング

【アトレティコ・マドリード組織守備 ゾーン1】

【アトレティコ・マドリード組織守備 ゾーン2】

【アトレティコ・マドリード組織守備 ゾーン3】

このようにゾーン毎にフォーメーションを変えて戦うことは、モダンサッカーにおいて既に常識です。


-アシンメトリー戦術-

レーン毎に「攻撃時のポジション配置」と、「守備時のプレッシング」を変更することで左右非対称を生み出す。それがアシンメトリー戦術です。

各ゾーンでのオーガナイズは、もはや当然。最先端のモダンサッカーでは、右と左のレーン毎にチームとしてアクションを変え、優位性を生み出すフェーズに入りました。

後編では組織攻撃と組織守備時に分けて詳しく解説していきます。

【後半はこちらをクリック】
知らなきゃ損!スペイン発・世界サッカーのトレンド【アシンメトリー戦術】後編


【動画も配信中】
攻撃のアシンメトリー戦術とは −FCバルセロナの組織攻撃−



後編の内容

組織攻撃における左右非対称(アシンメトリー)

組織守備における左右非対称(アシンメトリー)

アシンメトリーの弱点と効果


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栗本悠人

栗本悠人

スペイン協会公認サッカー指導者ライセンスレベル3所持(日本のS級相当)スペインの現地クラブで小学生年代から高校生年代まで全カテゴリーの監督を歴任。大学時代は人間性の教育の研究に従事し、小学校教員免許を所持する。教育学、経営学、心理学をヒントに、サッカーの競争原理と育成の統合を目指している。スペクラ創設者&スーパーアドバイザー。 

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