サッカートレーニングメニュー作成をもっとスムーズにする8つのポイント!
目次[非表示]
- 1.はじめに
- 2.トレーニング用具
- 3.時間
- 4.スペース(面積と形)
- 5.対戦チームとの人数比の関係
- 6.フリーマン
- 6.1.(ピッチ中のフリーマン)
- 6.2.(ピッチ外のフリーマン)
- 7.タッチ数
- 8.ポイント制・ゴール方法
- 9.理解度チェック
- 10.おわりに
- 10.1.回答例
- 11.関連記事
はじめに
トレーニングメニューを作成しているとき、コーチは選手・チームに落とし込みたいテーマ・目標を設定すると思います。
例えば・・・、
・回復系のトレーニングだけど、ボールも触らせたい。
・セカンドボールや球際の強さを出すトレーニングにしたい。
・ゴールキックからのビルドアップをチームで共有したい。
・センターリングシュートに、スピード系トレーニングを組み合わせたい。
・サイドチェンジして相手を揺さぶり、逆サイドから攻めるトレーニングをしたい。
など、各チームの状況や、選手の質、プレーモデルによって変化します。
有名プロクラブのトレーニングを真似しても、自チームのレベルや必要な能力と一致していなければ、効果が少ないトレーニングメニューになります。
「メニューに加えるルール・条件設定で、選手たちが学べる練習へ変化させる」
今回は、スペインコーチングスクールで紹介されている8つのバリエーションと、それぞれの効果について考えます。
トレーニング用具
【良い効果】
①種類豊富なトレーニング用具は、選手のモチベーションを上げる。
②片方のチームのゴールを大きくしたり、小さくしたりして、選手の質的優位を結果に反映させない。
③マーカーの色を使って、メニュー説明を簡単にする。
④サーキット・サッカーに通じた遊び・ケガ予防・フィジカルトレーニングの際に特に有効
【悪い効果】
①マーカーなどを使いすぎると、選手が混乱する
②年代に応じた適切なトレーニンググッズを使用しない場合、怪我の可能性がある。
(例)小学生年代→パワー系トレーニング用具を使う。高いジャンプが必要となるハードルを使う。などは怪我の原因となる可能性がある。
時間
【良い効果】
①フィジカル的な負荷をコントロールする。※スペースとの関係性あり
②時間設定がトレーニング目標に合致している場合、インテンシティを保てる。
③トレーニングの継続性をコントロールできる。
【悪い効果】
①設定時間が長過ぎる場合、フィジカル的負荷が高すぎる場合がある。
②設定時間が短すぎる場合、フィジカル的負荷が軽すぎて選手が物足りなさを感じる。
③有酸素系と無有酸素系のトレーニングの時間設定をミスすると、フォーカスする能力の向上が望めない場合がある。
(例)2vs2のボールポゼッションを2分以上しても、無有酸素運動における効果は望めない→有酸素運動に変化する。
スペース(面積と形)
【良い効果】
①面積を調節して、トレーニングの難易度を調節できる。
(広いほうがスペースが生まれて難易度が落ちる)
②形を調節して、トレーニングしたいアクションを引き出す。
(サイドチェンジなら、横幅の広いピッチに)
③スペースの大きさを調節して、フィジカルコンタクトを調節できる。
(狭いスペースでは、コンタクトが多いのでパワー・スピード系トレーニングに。
広いスペースでは、コンタクトは少なく、持久系のトレーニングになる傾向がある)
【悪い効果】
①スペースが広すぎる場合、フィジカル的負荷が高すぎる・攻撃側の難易度が低すぎる・守備側がボールを奪えない、などの可能性がる。
②スペースが狭すぎる場合、フィジカル的負荷が低すぎる・攻撃側の難易度が高すぎる・守備側が簡単にボールを奪える、などの可能性がる。
③有酸素系と無有酸素系のトレーニングのスペース設定をミスすると、フォーカスする能力の向上が望めない場合がある。(2vs2のボールポゼッションを大きなスペースですれば、無有酸素運動における効果は望めない→有酸素運動に変化する)
(ゾーン分け)
【良い効果】
①ポイントを取れるゾーンを作ることで、トレーニングしたいアクションが効率的に引き出すせる。
②侵入禁止ゾーンを作ることで、トレーニングしたいアクションが効率的に引き出せる。
③ゾーンを区切ることによって、ピッチ上での役割が明確になる。
④ゾーン間の移動を制限することによって、トレーニングしたいアクションを効率的に引き出せる。
⑤ゾーン分けは、認知トレーニングに適し、選手の戦術インテリジェンスが上がる。
【悪い効果】
①認知トレーニングのためメンタル負荷が上がり、インテンシティが下がる
(頭で考えてプレーするため、アクションのスピードは低下する)
②ゾーンで区切ることによってできた役割の明確さは、自由な連携を阻む場合がある。
③往々にしてフィジカル的な負荷は下がる。
④ゾーンを分けすぎてルールが複雑化すると、トレーニング自体が成り立たなくなる。
対戦チームとの人数比の関係
(数的同数)
【良い効果】
①両チームに同じ条件を与えやすい。
②選手のモチベーションが上がりやすい。
③ゲームに近い状況を再現できる。
【悪い効果】
①トレーニングの内容によっては、難易度が高すぎる場合がある。
(4vs4のボールポゼッション2タッチ制限→選手のクオリティが低く、スペースが狭い→プレーに継続性がなくなる。等)
(数的優位・数的不利)
【良い効果】
①難易度の調整→攻撃側が数的優位→攻撃の難易度が下げる⇔守備の難易度は上がる
②難易度の調整→守備側が数的優位→守備の難易度が下げる⇔攻撃の難易度は上がる
③スペースと時間が生まれ、味方と連携が取りやすくなる。
④フィジカルコンディションを調整できる。
(例>スタメン組が2人多く・サブ組は2人少ないチームで、6vs8のボールボゼッション)
【悪い効果】
①どちらかのチームが数的優位性が大きすぎる場合、選手のモチベーションを下げる可能性がある。
②フィジカル負荷のかかり方に違いが生まれる。
フリーマン
(ピッチ中のフリーマン)
【良い効果】
①トレーニングの難易度を、両チームに公平な形で調整できる。
②攻撃フリーマン→中央のスペースを使ったプレーを多く引き出せる。
③守備フリーマン→中央の守備を固めることが可能。→攻撃側はサイドから攻めることにある。
【悪い効果】
①フリーマンの人数設定をミスすると、難易度が下がりすぎたり、上がりすぎたりする。
②フリーマンを使ったトレーニングに慣れると、試合のプレッシャーに適応できない可能性がる。
③ピッチ中央へプレーが刷り込まれ、裏目に出る場合もある。
(ピッチ外のフリーマン)
【良い効果】
①トレーニングの難易度を、両チームに公平な形で調整できる。
②攻撃フリーマン→サイドのスペースを使ったプレーを多く引き出すことができる。
③ボールポゼッション等の場合、攻撃方向をつけることが可能になる。
【悪い効果】
①外フリーマンのフィジカル負荷が極端に少ない
②フリーマンを使ったトレーニングに慣れると、試合のプレッシャーに適応できない可能性がる。
③サイドへのプレーが刷り込まれ、裏目に出る場合もある。
タッチ数
【良い効果】
①タッチ制限を加えることで、プレーリズムを半強制的に上げる。
②タッチ制限を加えることで、判断スピードを半強制的に上げる。
③タッチ制限で、トレーニングの難易度をコントロールできる。
④タッチ義務化で、トレーニングしたいアクションを引き出す。
⑤タッチ義務化で、サポートのタイミングを分かりやすくする。
【悪い効果】
①タッチ制限や義務のルールを多用しすぎると、状況を把握せずに判断する悪い習慣がつく場合がある。
②プレーリズムをコントロールする習慣がつかない
③タッチ制限の設定をミスすると、トレーニングの難易度が上がりすぎる場合がある。
ポイント制・ゴール方法
【良い効果】
①ゴール(ポイント)を取る前に、するべきアクションを設ける場合、狙ったアクションが引き出せる。
②ゴールやポイントを取る配置を変えて、狙ったアクションが引き出せる。
③ゴールを決めるための部分を義務化し、技術アクションに習得に役立つ。(ヘディングシュート、インサイドパスでコーンを通せば1ポイント、胸トラップからのボレーシュートなど)
【悪い効果】
①サッカーの原理原則を無視した設定になる場合がある。「ゴールを決める前に、サイドチェンジをする」といったルール設定は、サイドチェンジ本来の目的(相手を揺さぶってギャップを生み出す)を失う場合が多い。
②ゴールやポイントを取るトレーニングは、試合形式になりやすく。プレー状況を分割してプレーモデルを落とし込みにくい。
理解度チェック
以下の動画トレーニングにおける注意点を挙げよ。
おわりに
トレーニングルールの仕組みがわかると、トレーニングメニューで発生する可能性のある問題が差先読みできるようになります。
あなたのプレーモデルを選手に落とし込むための最も重要なトレーニング。
この機会に新たなルール設定を取り入れてみては?!
回答例
【用具】ゾーン区切るマーカーは平べったいものを使用・数はできるだけ少ないほうが良い→マーカーにボールが当たってプレーが遅くなる。
【時間】難易度の高いトレーニングのため、時間が短すぎると、選手にトレーニング目標が伝わらい可能性あり。
【面積】スペースはレベルに応じて変わるが、難易度の高い戦術トレーニングのため、大きなスペースから始めるほうがよい。
【ゾーン分け】ゾーンが多いので、インテンシティは下がる。選手の脳内負荷がかなり高いため、過度なコーチングは控える。試合前のトレーニングには、不適切。
【対戦チームとの人数比】数的同数のメニューなので、選手のレベルよってはかなり難しいトレーニングになることを頭にいれておく。
【フリーマン】もし難易度があまり高い場合は、ゾーン2にピッチ内フリーマンを加えることも可能。
【タッチ数】難易度の高いメニューのため、フリータッチでスタート。選手の質が高く、簡単に前進できるようになったら、タッチ制限を加える。
【ゴール・ポイント方法】ゴールが全く決まらず、選手のモチベーションが下がりそうな場合は、ゾーンを超えればポイント加算される形式にする。ゾーンを超えれば1ポイント、ゴールを決めれば3ポイントなど。
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