【女子リーガ1部エスパニョール分析官連載】サッカーにおける対戦相手の分析方法
はじめに
スペクラをご覧の皆さまこんにちは。
バルセロナ在住8年目、小堺めぐみ(@megumikozakai)と申します。
私は現在、スペイン・バルセロナでサッカー選手(スペイン女子サッカーリーグ3部、テラッサFC)、指導者(テラッサFC U-19男子)、分析(スペイン女子サッカーリーグ1部、RCDエスパニョール)など、サッカーに携わる仕事をメインに活動しています。
前回は、私がこの仕事につくまでの流れを書かせていただきました。
前回記事はこちら→【女子リーガ1部エスパニョール分析官連載コラム】私の歩くサッカーの道
今回は、私がRCDエスパニョールへ分析担当として学んだ分析について説明します。
最後までお付き合いいただければ幸いです。
サッカーにおける分析とは
皆さんにとって、分析とはなんですか?
広辞苑によると、分析とは、
「ある物事を分解して、それを成立させている成分・要素・側面を明らかにすること」です。
では、サッカーにおける分析とは?
こちらの図をご覧ください。
対戦相手 | 攻 | 守 |
○ | どう防ぐ? | どう崩す? |
✕ | どう奪う? | どう突く? |
この図にあるように、私にとっての分析とは、
・相手のストロングポイントは何で、そこにどう対応するか?
・相手のウィークポイントは何で、そこをどう突くか?
それを攻撃・守備ともに行うことだと考えています。
要するに分析の定義でいう成分・要素が攻撃と守備におけるストロングポイントとウィークポイント、それらの側面を明らかにすること。
そこからさらにプラスαでどういう対策を練るかということころまでが、サッカーの分析の仕事だと思います。
3種類の分析
次に、分析すべき3つの視点についてお話します。
それは、
①試合前、対戦相手の分析
②試合中、両チームの分析
③試合後、自チーム分析
です。
上記の3点をもとに以下の流れで分析していきます。
まずは、試合前に事前にライバルの情報を集めて、試合での戦い方や起こる現象をある程度予測しておきます。
次に、采配のヒントとなる試合中の分析は、分析官の腕の見せ所です。試合中の分析次第で、試合の流れを変え、結果を左右する分析になるからです。
さらに、試合ごとに振り返ってチームや個人のプレーを分析し、良かった点や改善点をあぶり出し、それ以降の試合に活かすための分析を行います。
この3つの分析の中から、今回は試合前の対戦相手の事前分析について説明します。
次回記事では、試合中の分析について具体的な例を挙げながらお話させていただきたいと思います。
試合前の対戦相手の事前分析方法
今回は、試合前の対戦相手の分析方法についてです。
集める情報
主に集める情報としては、
・過去数試合の結果
・リーグでの順位やゴール数(ホーム、アウェイ別々に)
・予想スタメン(予想フォーメーション)
・個人の特徴(利き足やプレースタイル)
・チーム内得点ランキング
・4局面(攻撃・守備・攻守の切り替え、守攻の切り替え)での分析と対応方法
・チームの長所・短所・弱点
などです。
参考例
例えば私の所属するユースチームの監督が考えていることの一部は次の項目です。
・ゴールキックでセンターバックが持ったとき、前線に蹴る?
・左右のセンターバックはどちらの方がボール扱いが苦手?
・センターバックは右利き?左利き?
・フォワードはポストプレーをしにおりてくるかそれとも前で張る?
・特徴的な選手は?
・ゴールキックに対してどうプレスをかける?
・スペースへのボールに弱い? もしくは、ライン間を突かれるのが弱い?
これらを全てまとめると、膨大な情報量となります。なのでこれは監督用として準備し、選手には相手の特徴と自分たちができることを簡潔にまとめ、特にイメージとして共有できるようにしています。
これはスペインのとあるチームのロッカールームの壁です。監督が試合前にどういう意図で試合をするか、説明するときに使ったものだと思われます。対戦相手の事前分析をもとに、戦術プランを組み立てます。
まとめ
以上が、試合前の対戦相手の分析方法です。
試合前の分析はあくまでも予想で、大きく外れることもあります。
けれど、より対戦相手の特徴を知り試合展開をイメージしておくことは、試合中の采配の助けになります。
次回は、試合中有の両チームの分析について説明します。
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