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育成年代におけるチームマネジメント



目次[非表示]

  1. 1.はじめに
  2. 2.教育者-指導者
  3. 3.チームマネージャーとしての指導者
    1. 3.1.指導者の責任:
    2. 3.2.指導者の資質
    3. 3.3.チームマネージャーのタスク:
  4. 4.まとめ


はじめに

チームマネジメントとは?サッカーとは?


チームマネジメントとは

指導者による、チームメイト、チームスタッフ、周りの環境の関係性を向上させるための「技術レベル」、「戦術理解力」、「フィジカル」、「メンタル」の組み合わせのことを言います。

サッカーという競技はまず、人と人との関係性がしっかり成り立っていなければうまくいきません。団体競技で欠かせないのがグループ内の人間同士のコミュニケーション。そのうえ育成年代の場合、指導者はサッカーコーチとしての役目はもちろん、教育者として子供達の見本になる責任も抱えます。

では、チームマネジメントを理解する前に、サッカーというゲームとはどういったものなのかを改めて見てみましょう!


サッカーというゲーム

子供たちは何を目的にサッカーをするのでしょうか?

サッカーというスポーツゲームを楽しむためです。このゲームでは自主的行動が重要であり、決められたルールをもとに行われます。ゲームの不確実性、つまり結果や内容が定かではないことが好奇心を促す。ゲーム外の現実とは異なる、ある意味「非現実的」な空間で喜びや緊張を味わうことができます。

この「非現実的」な世界で喜びや幸せを感じながら、楽しい時間を過ごすというのがチームスポーツであるサッカーをプレーする上で第一の目的です。

これを踏まえて、選手、そして指導者はサッカーというゲームで何を得れるのでしょうか。選手たちはゲームを通じて各々の性格を表現します。指導者はその行動を観察し、選手ひとりひとりの人格をより深く知ることが可能になります。それによって接し方も適応させることができ、選手との関係がよくなり、結果的にはパフォーマンスの向上はもちろん、さらに楽しい時間を過ごせることに繋がる。これらに欠かせないのが指導者の優れたチームマネジメント力です。

本記事では、カタルーニャサッカー協会が定義する、育成年代のチームマネジメントについて解釈します!


教育者-指導者



指導者には2つのミッションがあります。

1.育成:スポーツにおける技術、戦術、フィジカルなどの要素を教えること

2.教育:競技とは別で、教育における道徳を教えること

育成年代、つまり「こども」の指導を行うということは、サッカーに特化した知識や能力を身に着けさせることが全てではありません。言葉使い、大人の話を聞く態度、道具の扱い方など、競技とは直接繋がりがないことも教える必要があります。この主な2つのミッションを遂行させるために必要な知識は大きく3つに分けられます


育成指導者が深く理解するべき知識

スポーツにおける知識

サッカーに関して教授できる知識をもつ

教育における知識

練習の構成の作り方

学習メソッドについて知る

子供/選手における知識

選手が成長段階のどのフェーズにいるかを把握し、そのフェーズに合った対応をする



選手の心理的特徴

チームマネージャーの主な目的:「人が集まったグループ」 を「 スポーツチーム」に導くこと。

この目的を実現させるには、育成年代の、選手が今成長期のどの段階にいるかをしっかり把握して、そのステージに最も適した接し方を心がけることが重要になります。

育成選手のステージ:

INICIACIÓN スタート時期(6~11歳)

TECNIFICACIÓN 技術的進歩時期(12~15歳)

RENDIMIENTO パフォーマンス時期(16歳~)

このように選手は年代や特徴によって段階が異なり、「大人」ではなく、「子供」でひとくくりにも出来ません。

成長のステージの複雑さ: 

各ステージの主な特徴を見解していく前に、全てのフェーズにおいて見える特徴、そして知っておくべきキーファクターがあります。

特徴不確実性、均一性のなさ、常に変化がある、複雑である。
キーファクター:家族、年齢、性別、教育、 友達、 文化

これらの特徴、キーファクターを踏まえ、必ずしも全ての子供が「表」に当てはまるわけではないことを前提として理解しておくことが重要です。

“Cada niño es un mundo”
『選手一人ひとり別世界』



育成年代のステージの主な特徴を確認しましょう:

INICIACIÓN スタート時期の特徴

6歳から11歳(小学年代)
運動技能、低い集中力、「遊び」前提、予測困難、自由さ。


TECNIFICACIÓN 技術的進歩時期の特徴

12歳から15歳(中学年代)
接点がある選手同士でグループができる、反論、反抗、思春期、エゴイズム。


RENDIMIENTOパフォーマンス時期の特徴

16歳から
自分自身を乗り越える努力、競技に重点を置く、自分自身に自信をもつ、情緒安定感。

これらの「特徴」をまず把握したうえで、選手ひとりひとりの人格や背景をもとに接し方を合わせていきましょう。



育成年代でチームマネージャーはどうあるべきなのか?

まずはいくつかの条件を満たす必要があります。

忍耐力がある、コミュニケーション能力があり意見交換できる、観察力ある、注意深い選手たちの行動を個々で見分けることできる、選手と共感することできる。(エンパシー、包括的)

やるべきこと

楽しむ、教える、話を聞く、コミュニケーションをとる、選手を知る、厳しさと寛容さのバランスを保つ、基準点を知る、見本になる、選手と信頼関係を築く、リスペクトする、自身の行動に厳しく。

やってはいけないこと

常に叫ぶこと、アグレッシブな態度をとること、大人扱いすること、子供の第一の目的である「遊び」を忘れること、結果に重点を置きすぎること、 選手の質問や悩みを無視すること、個人の質問や悩みに対して解決策を統一させること。選手ひとりひとり違う人間であり、解決や答え方もその選手に合ったものを探すべきである。自分に合ったアドバイスや答えを与えることができれば、選手との信頼関係もさらによくなる。


合わせて読む:
【現地サッカー監督コラム】子供が変わる!大人の振る舞い3原則




チームマネージャーとしての指導者

自分の仕事をより理解できれば、選手から得る尊敬も大きくなる。


チームマネージャーは団体のリーダーとしての権力を持っていますが、それと同時に様々な責任を持たねばなりません。


指導者の責任:

-サッカーに関する教育を受けること

-社会人としての経験をもつ

-自身の行動を客観的にみて省みる

-チームワークの価値を信じる

-サッカーのトレーニングメソッドに関する進歩を追い、可能であればその知識を得る。

-シーズン、そしてトレーニングセッションのプランニング、構成を作成する。

-グループが求めるものに応じれるように、臨機応変に動くこと。

-選手同士、グループ内のコミュニケーションがしやすいように努力する。


指導者の資質

育成年代の選手を指導する上で必要とされる資質は「能力」、「自己認識」、「自己肯定」、「権限」、「チームワーク」があげられる。これらの資質が揃ってこそ育成年代の指導が行えます。


能力

育成年代の指導者に求められる能力

・こどものグループをまとめるために必要なメカニズム、知識を持っている。
・リーダーシップ (見本になる)
・チームに関係する人々や機関(チームスタッフ、選手、クラブ、保護者など)の意見を尊重し、良いものは全て取り入れることができる。

(人格:情緒安定、外交的、リーダー、モチベーションがある、自己批評家、人事のマネージメントができる、勤勉、自分を信じる)

自己認識

自分を、環境や他の個人とは別の個人であると認識する能力を持つこと、そして自分の力、限界を知ること。
自身の行動を批評できること。それに基づいて新たな解決策を練る。

自己肯定

自分の目標、自分の考えを尊重することをいいます。もちろん周りの人間の考えも尊重しますが、まずは自分のアイデアを信じれないといけません。

・自信がある。
・自分の考え方を選手に説得できる。
・自分が決めたメソッド、アイデアに忠実に。


権限

他に対して自己を主張する資格のことをいいます。

育成年代のチームの指導者には、コーチとして、そしてグループを仕切る大人としてチームをまとめる権限があります。

ただ、選手に対して命令をするのではなく、「理由」、「目的」を伝えるのが最も望ましいです。選手も自分の行動には理由があり、目的がはっきりと理解できればもっと楽しくなる上、指導者に対する尊敬も高まります。権限がふさわしくないと思われれば、秩序の欠落などの問題が必ず起こります。

権限をどういった形で伝えているか、どう先導しているか、問題をどう解決しているか、どう物事を要求しているか、選手との関係はどうか、選手をどう信頼しているか、チームの関係性を良くさせているか・・・これらを常に問うべきです。

チームワーク

選手の育成において必要なものが欠けていないように、チーム内、もしくはクラブの関係者の協力を得る。

チームを先導することは極めて複雑だということを常に把握しておく。

人間面、技術面で様々な分野の知識が必要。

関係者にタスクを分担することは良いことだが、チームにおける最高責任者は常に自分であることを忘れない。


合わせて読む:
世界共通!人を導くリーダーになる。指導者の4つの心構え



チームマネージャーのタスク:

チームマネージャーのタスクは大きく5つの分野に分けることができます。教育面のタスク、人を変えるタスク、正常化のタスク、適応化のタスク、そしてコミュニケーションのタスクです。


・教育面のタスク

指導者は、いち教育者として選手たちに周りの人間との関係の築き方を教えなければならない。選手ひとりひとり別々の人間であり、問題や解決策も適応させるべきです。

サッカーにおける教育面で取り入れるべきコンセプトが「競技」です。サッカーというスポーツは競技なので、育成年代でこのコンセプトを理解することは非常に重要となります。選手たち、そして指導者のモチベーションにも繋がる要素でもあります。ただ、特に育成年代では「競技」が全てではないことを決して忘れないでください。競技面を重要視することが選手に悪影響を及ぼす恐れがあります。

・人を変えるタスク

育成年代の選手は、サッカーを通じて人として成長していきます。その成長の過程を観察し見守るのも指導者の役目となります。

人として子供たちが進化していくために良い影響を与えることができればそれに越したことはありません。特に低学年の選手たちは、指導者をロールモデルとして真似しようとする傾向があるので、指導者の人間性が選手の成長過程を(良くも悪くも)刺激することは確かです。

・正常化のタスク

正常化、つまり異常なことが起こっていないようにすることを言います。選手同士や選手と指導者の関係に無駄な緊迫や緊張があってはなりません。関係性に悪影響を及ぼしている態度や行動を見つけ、それを修正することもチームマネージャーの役割です。

特に気をつけるべき局面は:・チームにいるのが楽しいこと ・失敗を相対化する(失敗を責めすぎない)・成功を褒める・日々の練習を難しいものにしすぎない(選手たちが失敗したと思ってしまう)


・適応化のタスク

実際にサッカーの指導をするときに、考慮すべきプロセスがあります。

1.情報を与える:問題を認識し、その問題に対してどういった解決策が最も適しているかを考え、選手たちに伝える。

2.説明する:なぜその解決策が適しているか、その問題、解決策について選手たちに聞かれても直ぐに答えられるようにする。理由が明確になっていなければ、選手たちは指導者の言うことを聞かない恐れがあります。

3.デモンストレーション(論証)する:実際にピッチ、またはその問題が起こっている他の場面、局面で解決策をデモンストレートする。理解の早さが選手によって異なること、説明は一度だけでは足りないかもしれないことを事前に把握しておく必要があります。

・コミュニケーションのタスク

グループ内のコミュニケーションはスムーズ、そしてダイレクトでないといけません。コミュニケーションが足りていないと信頼関係も悪くなる恐れがあります。選手から相談が直接なくても、指導者から話しかけて気軽に話ができるようなスタンスをとることが非常に重要です。

これは、サッカー面はもちろん、選手たちの学校や友達に関する悩みの相談に乗ることも含まれます。



まとめ

育成年代の指導者には、サッカーという競技において結果を残すということに加え、もっと重要である「子供たちの成長をサポートする」というミッションがあります。

いち教育者としてのタスクや心得、そしてグループをまとめるチームマネージャーとしての役割を常に確認しながら、選手ひとりひとりとの関係性を大切に、その「1人の選手」に合った接し方を心がけていきましょう。



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スーペルクラック編集部

スーペルクラック編集部

スペイン・バルセロナを拠点に活動。「本物のスペインサッカーをありのままに生き生きと伝えたい」そんな想いで日々コンテンツを更新する。ライター、サッカー監督、プレーヤー等、多岐にわたるスペイン在住邦人が執筆・編集。深くサッカーを学びたいあなたへ。

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