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試合で効果的なアクションを実行できる選手に!攻撃・守備5つの【戦術的意図】とは

はじめに

「どういう意図でプレーをした?」「意図を持ってプレーしよう!」

「こうしたかったんだけど、上手くいかなかった。何が悪かったのかな…?」

サッカーをプレーする上で、一つ一つの動き・アクションに含まれる「意図」。どの選手も意図を持ってプレーをしていますが、その意図は一体どういったものでしょうか?その意図は状況解決の助けとなっているでしょうか?

サッカーにおけるアクションは、以前こちらの記事でも触れた「戦術的意図」を元に実行されます。

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今回の記事ではカタルーニャ州サッカー協会で定義される、サッカーにおける攻撃・守備5つの「戦術的意図」について深く掘り下げていきます!


目次[非表示]

  1. 1.はじめに
  2. 2.サッカーにおける4つのモーメント
  3. 3.戦術的意図とは
  4. 4.攻撃・守備5つの戦術的意図
    1. 4.1.【オフェンス戦術的意図】
    2. 4.2.【ディフェンス戦術的意図】
  5. 5.トレーニングにおける「シチュエーション設定」
  6. 6.まとめ
  7. 7.関連記事

サッカーにおける4つのモーメント

サッカーの基本的な状況は【攻撃】と【守備】に分けて考えられます。

さらに、【組織攻撃】【切り替え(トランジション)守備→攻撃】【組織守備】【切り替え(トランジション)攻撃→守備】の4つのモーメントに分ける事ができます。

【組織攻撃】→ボールを落ち着いて回して攻撃している状況です。相手は組織守備に入っています。一番サッカーが見やすい状況です。

【トランジション攻撃→守備】→ボールを奪われた後、組織攻撃から組織守備へ移る境目の状況です。「攻守の切り替え」がこの状況に当たります。

【組織守備】→ブロックを作って守っている状況です。相手は組織攻撃に入っています。一番サッカーが見やすい状況です。

【トランジション守備→攻撃】→ボールを奪った後、組織守備から組織攻撃へ移る境目の状況です。「攻守の切り替え」がこの状況に当たります。

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戦術的意図とは

個人戦術の基本的な状況下での、運動アクションの実行の目的に導かれるものである。目標は、各プレー状況の解決において、意図を持たせたプレーを選択することである。


現代のサッカーには様々な用語が存在し、アクションに名前が付けられ、それらが切り取られて理解され、トレーニングされている現状があります。

​​​​​​​アクションの名前だけでなく、そのアクションの目的は?そのアクションによって引き起こされる、もしくは引き起こすことのできる状況は?といった部分へのアプローチと理解が重要となります。

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攻撃・守備5つの戦術的意図

4つのモーメントにおいて選手は攻撃・守備それぞれ5つずつの「戦術的意図」をベースにアクションを実行します。


【オフェンス戦術的意図】

  • 引きつけ : 相手を引きつける。
  • 侵入 : スペースもしくは相手プレーヤーのゾーンに侵入する。
  • 保持 : ボールをポゼッションする。
  • 前進 : ボールを前進させる。
  • フィニッシュ : シュートを打つ。

【ディフェンス戦術的意図】

  • ディレイ : 味方の助けが来る時間を作る・相手の攻撃を遅らせる。
  • 誘導・限定 : プレーモデル、戦術プランによって決められたゾーンに相手を誘い込む。
  • 奪取 : ボールを奪う。
  • 前進の難易化 : 自分たちのゴールからできる限り相手を遠ざける。
  • ゴール防御 : ゴールを守る。


定義にもあったように、この戦術的意図は運動アクションの実行の「目的」に当たるものとなります。

例えば基礎運動能力の一つ「走る」運動アクションを一つとっても、実際のゲームの中では「マークを外し味方選手をサポートする」、「パスコースを切りながらプレスし相手を誘導する」などの意図を持って実行され、それが戦術アクションとなります。


サッカーにおける特化運動能力の一つ、「パス」は戦術的意図を含まなければ「味方にボールを届けるための技術アクション」となりますが、

例えば戦術的意図「前進」を含んだパスでは「前にスペースのある味方の選手がコントロールで前進できる、ゴール方向に近い足への強いパス」のように試合で使える技術アクションへとグッと近づきます。

サッカーのなかで行われる運動アクションは戦術的意図が組み込められることによって、試合で有効な技術・戦術アクションとなります。

もちろん上記の攻撃・守備10個の戦術的意図だけに限ってアクションを行うわけではありません、大事なのは何を目的にアクションを行うのか、他に選択肢はあるのか、どの選択が最適なのかを選手が考えることです。

年代や選手のレベルによっては、技術のアクション「実行」の部分だけではなくこの「意図」、「戦術的判断」の部分を指導者は評価してあげる必要があります。


トレーニングにおける「シチュエーション設定」

トレーニングを行う際に考慮すべきなのはシチュエーション設定有り・無しのメリットとデメリットを理解し、使い分けることです。

各モーメント、ゾーンやシチュエーションによって必要とされるアクションは異なり、チームの行動によって意図も変化します。

例えばゾーン 1ー2での「サポート」は前進や保持、引き付けなどを意図して行われることが多いですが、ゾーン3でチームとしてフィニッシュを目的とするモーメントでは「わずかなスペースを生み出しダイレクトもしくは少ないタッチでの「フィニッシュ」を意図したサポート」や、それを達成するための「グラウンダーで利き足への強いパス」なども重要なアクションとなります。

明確なシチュエーションを設定することは選手の判断レベルを高めます。

シチュエーション設定無し→1つの戦術的意図 

選手はあらかじめ決められた戦術的意図を元にアクションを実行します。

- シチュエーション設定有り→プレーのコンテクスト(背景)によって戦術的判断

選手は状況を見極め判断し、アクションを実行します。

達成したい戦術的意図をいつ、どの様に解決して行くのか、方向を設定し、相手選手のアクションによって判断していきます。


相手無しの反復練習で上達することももちろんあり、それによって一つ一つの意図を達成するためのアクションの精度を高めることも必要です。

ですがその意図を選手が実際のゲームの中で判断し、実行するといったプロセスは試合のシチュエーションに近い状況でのトレーニングが引き起こすものとなります。

選手はいつも同じ状況やスペースでのトレーニングではなく、様々な状況を設定し経験する必要があるのではないでしょうか。

まとめ

戦術的意図は小学生年代から徐々に教えて行く必要がありますが、そこだけに固執しすぎてはいけません。全て『バランス』の問題なのです。サッカーをする子供たちはボールを持っていなければ取り返して、ボールを持つと前に進み、シュートを打ちたいのではないでしょうか?

サッカーを始めたばかりの選手が攻撃を遅らせたり、相手を引きつけるなどの明確な意図を持つのは難しいかもしれません。言葉や選択肢が複雑で楽しそうでなければ、自由に試合をさせても良いのです。ただ、そればかりではサッカーはうまくなりません。常に「抑えるべき原理原則を落とし込む時間」と「単純にサッカー楽しむ時間」のバランスを考えながらトレーニングを組み立てるといいでしょう。


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西畑 勇佑

西畑 勇佑

福岡県出身、バルセロナ在住。スペインサッカー協会公認指導者ライセンスレベル2所持(日本のA級相当)。スペイン育成の名門U.E.SANT ILDEFONSのU-13の第一監督を務めながら、スペインリーグでプレーヤーとして活躍する。大学時代にはJICAの青年海外協力隊員としてスポーツ振興に関するボランティアを行うため、南米・ボリビア多民族国へ。チームリーダーとしてボリビアでのサッカー普及に貢献した経歴も持つ。

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