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スペインサッカー用語「Fijar(固定する)」とは?


目次[非表示]

  1. 1.はじめに
  2. 2.FIJAR AL RIVAL 相手を固定する
    1. 2.1.・ボール非保持者のFijar
    2. 2.2.・ボール保持者のFijar
  3. 3.固定→「引きつける」ドリブルから「パス」の例
  4. 4.おわりに
  5. 5.関連記事

はじめに

スペインサッカーの現場でよく耳にするスペインサッカー用語、「Fijar (フィハール)」という言葉。

単語本来の意味は「留める」や「固定する」といった意味を持つ単語ですが、サッカーの現場で重要なサッカー用語として使用されています。

サッカーにおいてピッチ上で相手を「固定する」?

どの様な使われ方をしているのか、それはどの様に行うのか。

今回の記事では育成年代から学び、一流選手達が使いこなす「Fijar (フィハール)」について解説します!


FIJAR AL RIVAL 相手を固定する

攻撃局面におけるボール保持者、非保持者のアクションによって相手ディフェンスに対する脅威を生み出し、ディフェンスアクションの判断を困難にすることで相手を「固定」しプレーの主導権を握る。

フィハールはプレーの前進のためのオプションにおいて大きな影響を及ぼす攻撃の基礎であり、さらに使い方によっては守備のサポートまでも固定することも可能で、攻撃における大きな優位性を引き起こすことができる。


固定は、相手に迷いを生じさせることによって引き起こせます。

このフィハール「固定する」にはオフェンス戦術的意図「引きつける」が密接に関係します。


【合せて読みたい】試合で効果的なアクションを実行できる選手に!攻撃・守備5つの【戦術的意図】とは

フィハールは相手にボール、スペース、マークのどれを優先して守るかといった迷いを与え、結果的に相手をおびき寄せることもあるため「引きつける」という意味で使われることも多々あります。

相手を迷わせるために重要なのは引きつけるという戦術的意図を各選手が持つこと。

サッカーにおいて相手の意思決定、アクションを完全にコントロールすることはできませんが、オプションを絞らせず判断を迷わせることがアクションを制限し「固定する」ことに繋がります。

どちらに行くべきか、相手ディフェンスの判断を数人の選手が複数方向から迷わせることから、選手を磁石にたとえ「Imantar(イマンタール):磁気を与える」といった言葉が使われることもあります。

ではそのアクションをボール保持者と非保持者に分けて見ていきましょう。

・ボール非保持者のFijar

ボール保持者に時間とスペース、オプションを与える戦術的意図を持ったボール無しでのポジショニング・動き出し。

ボール非保持者の戦術的意図は固定した相手選手のアクションによって変化します。

ボールを受けさせまいと今いる場所に相手が寄ってくる、もしくは動き出しについてくることによって戦術的意図「引きつける」を達成できることもあります。

ですが相手が寄ってこない場合、例えば戦術的意図はボールを受けて「前進」となることもあります。


・ボール保持者のFijar

ボール保持者はオプションを持った状態での「運ぶドリブル」によって相手を固定することができ、その後の相手のアクションによって「引き付ける」「割って入る」「前進する」の3つの運ぶドリブルの用法を使い分けることができます。

【合せて読みたい】コンドゥクシオンってなに?スペインの常識『運ぶドリブル』をマスター!

ボール保持者の戦術的意図も同じく相手選手のアクションによって変化します。

例えばボールを運ぶことによって相手が寄ってくれば「引きつける」、寄って来なければ「前進」もしくは「割って入る」ことが可能となります。

固定→「引きつける」ドリブルから「パス」の例

ボール保持者、非保持者の関係によるフィハールで相手選手のアクションを制限し、自分達のアクションに対する即時の反応、解決を困難にする。

もし相手ディフェンスを固定しなければ、そのディフェンスの素早い対処、守備アクションへの参加を許すことになります。

チームメイトはボールを受けた時に少ないスペースと時間の中でプレーすることとなり、次のアクションの複雑性が増します。

パスを出す前の一手間、運ぶドリブルで相手ディフェンスの矢印を自分に向けさせ、引きつけることに成功すればディフェンスが身体の向きを変えてその矢印と逆方向に走りボールに追いつくことは困難となります。

パスの瞬間には、カットされると2人以上の選手が置き去りになるリスクを負いますが、成功すればボールを受ける味方選手に大きなアドバンテージを与えることができます。


ボール保持者は運ぶドリブルだけでなく、止まること、ボールを動かす事でも相手を固定することが可能です。詳しくは別の回にて解説します。


先日終了したEURO 2020で生まれた数多くのゴールの中にも、フィニッシュゾーンでこのフィハールをうまく使ったシーンが見られました。

25:39〜のスペイン代表、アスピリクエタ選手のゴールの前にはぺドリ選手がパスを出す前の運ぶドリブルが相手を固定し、最終的にクロスでアシストしたフェラン・トーレス選手にコントロールして中の状況を確認するための時間とスペースを与えていますね。

All 142 UEFA EURO 2020 goals: Watch every one!!!

https://www.youtube.com/watch?v=JJydBns9ZvM

おわりに

1タッチ、2タッチでのプレーばかりを求めていてはこのフィハールのコンセプトを身につけるのは難しくなります。

ボールを持っている時、主導権を握るのは自分達。相手によって自分のアクションが制限されるのではなく、自信を持ってボールとともに相手を「固定」し、アクションを制限できるように、相手を動かす感覚を手にできるようにチャレンジしてみましょう!

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西畑 勇佑

西畑 勇佑

福岡県出身、バルセロナ在住。スペインサッカー協会公認指導者ライセンスレベル2所持(日本のA級相当)。スペイン育成の名門U.E.SANT ILDEFONSのU-13の第一監督を務めながら、スペインリーグでプレーヤーとして活躍する。大学時代にはJICAの青年海外協力隊員としてスポーツ振興に関するボランティアを行うため、南米・ボリビア多民族国へ。チームリーダーとしてボリビアでのサッカー普及に貢献した経歴も持つ。

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