コンドゥクシオンってなに?スペインの常識『運ぶドリブル』をマスター!
はじめに
スペインにおけるドリブルは、突破のドリブル(Regateレガテ)と、運ぶドリブル( conducciónコンドゥクシオン )の2タイプに分けられ、状況によって使い分ける判断が重要視されています。
突破するべきときか? 運ぶべきときか? の判断基準を把握していなければ、意味もなくボールを失うことに繋がります。
今回は、スペインに伝わる「引き付ける」「割って入る」「前進する」3つの運ぶドリブルの用法と、そのトレーニング方法をご紹介します。
目次[非表示]
- 0.1.はじめに
- 1.運ぶドリブルと突破のドリブルの違い
- 1.1.運ぶドリブル
- 1.2.突破のドリブル
- 1.3.【理解度チェックA】
- 2.運ぶドリブルの3つの用法
運ぶドリブルと突破のドリブルの違い
運ぶドリブル
運ぶドリブルとは、その名の通り「ボールを前に運ぶこと」を目的とします。目の前の相手を抜くことではなく、相手ラインを超えることを目指します。
【関連記事】簡単に突破されない守備!スペインサッカー常識「ディフェンスの壁」とは?
スペースが必要となる運ぶドリブルは、おもにゾーン1(自陣ゴール近く)、もしくはゾーン2(中盤)で使われることも頭に入れて置きましょう。
さて、以下の図を見てください。
「センターバック同士でパスを回しているだけで、ボールが進まない」状況です。
これは、相手FWと2vs1の状況ですが、センターバックが横パスばかり繋いでいるケースです。
これでは、相手の守備ブロック(ライン形成)は崩れません。
では、以下の図の状況ではどうでしょうか?
センターバックの横パスが入り、相手FWが追いつかない時点で、ドリブルでFWのラインを超えています。運ぶドリブルによって、相手の中盤ラインの選手を引き出すと同時に、相手FWが背後から追いかける状況を作れます。
さらに、相手の中盤に「歪み」を生み出し、守備ブロック(ライン形成)を崩すことも可能です。
突破のドリブル
突破のドリブルは、その名の通り「相手を突破する(抜く)こと」を目的とします。相手を抜いてラインを強引に突破します。
おもに、ゾーン2(中盤)もしくはゾーン3 (相手のゴール前)で使われ、相手の守備組織を壊すために最も破壊力ある手段です。
例えば以下の図の状況は、試合で最も突破のドリブルが発揮されやすい場面です。
ウイングがサイドで足元にボールを受けて、サイドバックへドリブルで仕掛けるシーンは、サッカーの1つの見所ですよね♪
【理解度チェックA】
以下の①・②状況では、運ぶドリブルか突破のドリブルどちらを仕掛けるべきでしょうか?
※答えは記事の最後で
運ぶドリブルの3つの用法
さて、ここからは運ぶドリブルの3つの用法について細かく説明していきます。
前進するドリブル Conducción para progresar
前進するドリブルは、自分の前にスペースがあるとき、ドリブルで前にボールを運び、次のゾーンへ侵入するドリブルを指します。
下図のように、センターバックの前方に大きなスペースがある場合↓
センターバックがボールを前のゾーンへ運ぶことによって、中盤ゾーンで数的優位を作れます↓
さらに相手の守備ブロックを後退させることにも繋がります。ドリブルで前進することが、相手の守備ラインを下げるために有効な手段の1つと言えるでしょう。
引き付けるドリブル conducción para fijar
引き付けるドリブルは、相手をおびき寄せてスペースを生み出すドリブルです。
下の図のような、ウイングがボールを保持しているときに、サイドバックがオーバーラップしてきた2vs1の場面↓
このとき、ボール保持者が何も考えずサイドバックにパスを出せば、「相手DFはサイドバックに追いつく」ことができます。
ここで重要なことは「パスをする前のひと手間」です。それが、引き付けるドリブルになります。ドリブルで相手を引き出し、自分のパスしたい方向から遠ざけます。相手が出てきたタイミングでパスを出せば、ボールを受けた選手に相手は追いつけません。
もしドリブルして相手がこなかったら?
サッカーの原理原則に従えば、ドリブルで前進すると、必ず1人はプレスに行く必要があります。プレスをしない場合、ゴールまでドリブルで辿り着かれてしまいます。
割って入るドリブル conducción para dividir
割って入るドリブルは、2人の相手の間をドリブルで通過しライン突破するドリブルを指します。
4バックvs3トップのゾーン1のビルドアップの場合↓
※ゾーンとチーム戦術の関係に関する説明はこちらの記事
チーム戦術を作ろう!サッカーの基本『13のプレーシチュエーション』前編
相手のウイングもフォワードもプレッシャーに来ない場合は、思い切って2人のディフェンダーの間をドリブルで突き抜けましょう。
成功すれば、次のゾーンで数的優位を生み出すだけでなく、2人の選手を一気に置き去りにすることも可能です。前進のドリブルは、前にスペースがあるときにドリブルで運ぶでしたが、割って入るドリブルは相手の2人を突き抜けるイメージのドリブルとなります。
【理解度チェックB】
以下の①・②・③の状況では、「前進ドリブル」「引き付けるドリブル」「割って入るドリブル」どのドリブルを仕掛けるべきでしょうか?
『運ぶドリブル』トレーニング動画
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〈理解度チェックの答え合わせ〉
A①=運ぶドリブル / A②=突破のドリブル
B①=割って入るドリブル / B②=前進のドリブル / B③引き付けるドリブル
※基礎的な回答です