タレントを最大限に生かす!サッカー理論「ポジション別個人原則」
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はじめに
「ポジション別個人戦術」
この言葉を聞いたことのある指導者もいると思います。この記事ではスペインのサッカーコーチングスクールで教授されるポジション別個人原則について簡単に説明します。
なぜポジション別個人原則が必要か?
6000平方メートルもあるスペースの中で、11対11つまり22人の選手たちが、足でボールを扱うサッカーというスポーツ。
ある程度のフィジカルコンタクトも許されており、オフサイドラインという特別なルールを除いて基本的にそれぞれの選手のアクションも縛られていません。22人の選手が足でボールを扱い、さらに自由度の高い動きをする。それはサッカーの複雑性の高さを示しています。
つまり「チーム全員」が「全ポジション」における「成功率の高い戦術的アクションの判断基準」を身につけることは至難の業です。
プレー状況を設定し戦術的コンセプトをトレーニングしますが、サッカーで起こりうる可能性のある全ての状況を詳細に再現することは不可能です。同じ状況のように見えても、常に状況は変わっています。相手のレベル、相手の位置、味方の位置、ピッチレベル、天候、フォーメーションなど、変化要因は挙げればキリがありません。
しかし「足元の技術やフィジカルだけをトレーニングすれば良い」という結論に達してはいけません。
「ポジション別個人原則」を通したトレーニングを試してみるのはどうでしょうか?
ポジション別個人原則とは何か?
1. サッカーの中で最も再現性が高いのは、ピッチ上の各ポジションの働きによって抽出されたプレー状況である。
2. 各ポジションのプレー状況を分析し、各状況で選手たちが基準を持って判断を下せる「最適解」を導き出す。※最適な解決策であって、最高の解決策ではない。
3. 各ポジションにおける「再現性の高いプレー状況」と「その最適解」をオフェンス・ディフェンスの両プレー局面で作る。
4. それにより全ポジションの各プレー状況で、「最適解」がピッチ上で共有される。例えば、あるプレー状況で、フォワードは、サイドバックの「最適解」を知らなくても、彼の「最適解」を導き出せば、サイドバックのアクションと一致する現象。
これらのポジション別個人原則を設定しておくことで、チームへのプレーモデルの落としこみと同時に、1つのポジションに特化した選手も生み出すことが出来ます。また各ポジションの選手を個別に分析する場合の基準にもなり得るでしょう。
例)サイドバックのサポートのポジション別個人原則
以下の図を見てください。
①相手のウイングの位置より前でサポート
②相手のウイングの位置と同じラインでサポート
③相手のウイングの位置の背後でサポート
これらの3つプレー状況についてサポートの戦術アクションを使った最適解を導き出します。
「どのプレー局面」「誰に対するサポートか」「いつ、どのようなプレー状況か」「なぜその解決策なのか」「例外」の4つを考えます。
【合わせて読みたい】4種類のサポート|サポートの種類を使い分けてボール保持率UP!
相手のウイングの位置より前でサポート
・プレー局面=オフェンス
・誰に対するサポートか=センターバック
・いつ・どのようなプレー状況か=センターバックにプレッシャーがかかって前に出せない状況
・なぜその解決策なのか=前にボールが出せない状況なので、足元で引き出しボールを逃す緊急時のサポートを行うため
・例外=ボランチがディフェンスラインに下がってビルドアップする場合は、ラインを一列上げてサポート
相手のウイングの位置と同じラインでサポート
・プレー局面=オフェンス
・誰に対するサポートか=センターバック
・いつ・どのようなプレー状況か=センターバックが前進するドリブルを始めたプレー状況
【合わせて学ぶ!センターバック攻撃時のタスク】
・なぜその解決策なのか=次に起こる状況は、相手がセンターバックにプレスに出る→足元で受けてラインブレイク。誰も来ない→3人目の動きによって、前で受ける。「足元で受けるサポート」と「3人目の動き」どちらも出来る位置を取るため。
・例外=ボランチがサイドバックの位置に流れて、ウイングが中に入っている。3人のポジションチェンジがある場合は、サイドバックはウイングのポジションへ。
相手のウイングの位置の背後でサポート
・プレー局面=オフェンス
・誰に対するサポートか=センターバック
・いつ・どのようなプレー状況か=センターバックがフリーで、相手のウイングが中央へ絞っている状況
・なぜその解決策なのか=センターバックから、相手のウイングのラインを超えるパスを受けるため。
・例外=ウイングがサイドへ張っている状況で、センターバックから直接ボールを受けることが出来る場合は前に入りすぎない。ウイングへボールが入った後にオーバーラップする。
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