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リーガ・エスパニョーラで戦うサッカー選手インタビュー【福村香奈絵選手】

福村香奈絵選手は、2019年よりスペイン・アストゥリアス州のプロクラブ

[レアル・オビエド・フェメニーノ]に所属しています。

同選手は昨年惜しくも1部昇格を逃したオビエドに今シーズン加入し、2部リーグ『Reto Iberdrola』でスペイン1年目のシーズンを送っています。

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スペイン移籍に至るまでの福村選手のサッカー人生について教えて頂けますか?

サッカーを始めたのは10歳の時です。普段一緒に遊んでいた男の子に誘われて始めました。

小学校時代は地元の男子チームと女子チームの2チームに所属していました。

中学に上がった時、地元に女子チームが無かったのでセレクションを受け、東京のSFIDA世田谷FCに所属し、電車で通いながら3年間プレーしました。

高校は宮城県にある常盤木学園高等学校のサッカー部に入部し、親元を離れ3年間寮生活をしながらサッカーをしていました。高校卒業後は、なでしこリーグ1部に所属するアルビレックス新潟に入団しました。

加入後最初の4年間は新潟医療福祉大学に通いながら、最後の1年は新潟総合警備保障で事務員として働きながら合計5年間新潟でプレーしました。

その後スペインに渡り、今シーズンからオビエドでプレーしています

なでしこ1部リーグから、異国での挑戦。迷いや葛藤はありませんでしたか?

異国での挑戦に対する迷いは一切無かったです。

実は、スペインに来る前はサッカーを辞めようと考えてました。スペインに来る前の1年間は出場機会が殆ど無かったのですがその状況とは全く関係なく、自分にとってこんなにもサッカーが楽しくないと感じた1年は初めてだったので...。

もちろん日本の中で一番上のリーグでプレーしている分、スタメンであってもベンチであってもベンチ外であってもチームのために努力し、上を目指すことは当然です。アマチュアでも勝つことが求められます。

ただ、自分の考え方の一つとして、日本のトップリーグで活躍することが重要なのではなくて、GKが楽しいと感じられることが一番大切なので、自分は楽しそうだと思った道を選択しただけです。


日本の1部リーグに所属していても、地域リーグに所属していたとしても、スペインでサッカーすることに魅力を感じたなら迷わずスペインに行くことを決めたと思います。

ただ一つ、移籍に関して迷った点をあげるならアルビレックス新潟レディースファン・サポーターの皆さんを含め、新潟が大好きだったことですね。

チームメイトのことが大好きすぎて、スペインに行ったらみんなと離れてしまうと考えるだけで辛かったです(笑)


その環境を飛び出し、スペインでの挑戦となりました。どうしてスペインを選んだんですか?

もともとスペインという国自体にすごく興味を持っていて、選手として引退した後に個人で留学をしようと考えていました。結果的にサッカーを通してスペインに来ることになったのは、中学の時に同じチームメイトだった友人にNOVAJIKAさんを紹介してもらえたことがきっかけで、「将来的に行くことを決めているけれど、今チャンスがあるならチャレンジしてみよう」と思ったのがきっかけです。


最初の渡航はトライアウトでしたよね。スペインでトライアウトを受けた時の第一印象を教えてください。


シンプルにサッカーが楽しかったです。

練習中は、とにかく監督、コーチが1つ1つのプレーに対して異常なくらい褒めてくれるなと感じました。自分は普通にプレーしている感覚だけど、簡単なシュートを止めても「ナイスキーパー!」と言ってくれたり。

とにかくスタッフ陣から選手に対してのフィードバックが多いなという印象でした。

それと一番驚いたことがあって。選手が練習開始の15分前にロッカールームにちらほらと集まってくるのに衝撃を受けました(笑)そして練習が終わったらすぐさまシャワーを浴びて帰宅すること(笑)

日本でプレーしていた時は練習が始まる1~2時間前にはクラブハウスにいて、若い選手を中心に練習用具を準備することから始まり、各自室内でストレッチや筋トレをしてからグラウンドに出る。練習が終わった後も各自追加で残って練習をしたり、筋トレをしたり、ランニングをしたりしてクラブハウスに戻ります。

練習の前後だけでもこんなにも違うのかと、衝撃を受けましたね。


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文化の違いですね。プレー面ではどのような違いがありましたか?

フィジカルがとにかく凄い。プレー中のコンタクトが激しいです。これは男子、女子関係なく。

ただフィジカルは、根本的な体格の違いだと思います。練習でも試合でもコンタクトプレーの1つで「この選手にフィジカルでは勝てない」と身体がそう感じます。日本にいた時には戦ったことのないような、自分はどでかい岩にでもぶつかっているのか?と思うくらいのフィジカルモンスターがこっちには沢山います(笑)

そして戦術的ファウルも当たり前。監督が「なぜファウルをしないんだ?!今のはファウルをしてプレーを止めるところだろ‼」と選手に怒る。フェアプレーが大切なのは分かりますが、ここではそんなもの通用しません。

技術でみたら日本人の“止める蹴る”のレベルの高さはやっぱりすごいなと思いますが、それを上回る勝負強さや勝負に対する気持ちの強さが半端じゃないです。

練習中のミニゲームでも削りあいは普通って感じです。練習が終わって、足がアザだらけなのが日常です。「あれ?こんなところにアザがあるんだけどいつの間に?」みたいな(笑)

トレーニング内容も日本とは異なりますか?

練習の内容としては日本にいたときは、曜日ごとにある程度何をするのかが決まっていて、火曜日はフィジカル系、水曜日は対人系、木曜日は紅白戦中心...のような感じでしたが、今私が所属しているスペインのチームでは、チームの戦術を含め、その週の対戦相手をイメージしたような練習メニューがほとんどです。基本的にグラウンドは半面しか使えないので、日本で当たり前のようにやっていた紅白戦もこっちでは1回しかしたことがないです。

あとはやっぱり圧倒的にオフの日数が多いことです。日本の場合だと基本的に週1日のオフで、土曜日試合だと日曜日は試合に絡んだ選手はリカバリー、そのほかの選手は練習試合というながれがほとんど。リーグの中断期間があると3~5日のまとまったオフがあるという感じでした。しかし、今のチームでは、週に2日のオフ、土曜日試合だと日曜日は必ずオフ、試合が無い週は週末もオフという感じで、こっちに来てから練習試合はプレシーズンの時しかやったことがありません

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ゴールキーパーというポジションで感じる違い、また言語面など苦労したことはありますか?

言語面では今でも葛藤の連続です。GKに限らず、チームスポーツにおいてコミュニケーションをとる重要性を改めて感じています。

特に私のプレースタイルは、体格に恵まれていない分、頭を使って協力してゴールを守ることに重きを置きます。なので、ネイティブに話せないことがマイナスになっているのは確かです。

スペインに来て、日本にいた時は随分とチームメイトに助けられていたなと実感しました。

スペインでは、個人の力が問われる部分がとても多い。また一つレベルアップするにはとても良い場所にいるなと感じています。

ゴールキーパーとしてのプレー面での違いの気づきもありました。例えば、一瞬で大きな力を出す瞬発力、パワーの違い、コーディネーション能力ですこれらはGKをするにあたってとても重要な要素です。

スペインの2部リーグだと自分と同じような体格の選手がいますが、パワーはスペインの選手のほうが圧倒的に上です。

ただ、女子の場合パワーはスペインの選手のほうが上でも身体の使い方、すなわち”コーディネーション能力”は日本のほうが上だなと感じています。ただここに関しては、サッカーの違いに関わってくるのかなとも思います。

例えば、日本のサッカーは1つのシチュエーション、1つのシュートストップをするにしても細かい動きが多いので、必然的にコーディネーション能力が必要となってきます。

しかし、今のリーグでは、1つのシュートストップに対して細かなコーディネーションの前に、大砲のようなシュートがとんできます(笑)

コーディネーション能力の前に爆発的な瞬発力を持っているGKの方がシュートを止めれるというイメージの方が今は大きいです。

もちろんどちらの能力も必要ですが、根本的な体格が違う分飛んでくるシュートの質も全く別なので、求められるGKの質も必然的に変わってくるのかなと...。

もちろん苦労する事ばかりではありません。

嬉しいことは、単純にチームメイトがいいプレーに対してすごく褒めてくれることですかね。自分にとっては何でもないようなセーブに対してもめちゃくちゃ褒めてくれます(笑)大げさだよって思うほどに(笑)

では、次に今住んでいる町、オビエドについて教えてください。

スペインの中では北のほうに位置していて国内の中でも雨が多く気温が低く自然が多い街ですが、水もきれいでご飯も美味しいです。チームメイトも含め、街の人も優しい人が多いです。

中心街に行けば色々なお店やデパートがありとてもきれいな街ですが、今住んでいる寮の周りは本当に何もないです。

少し歩けば大きな牛や馬が沢山います。とくに遊ぶような場所もないので、必要なものを買いに行ったり、レストランで食事する用事がある以外はほとんど行きません。周りの景色を見渡せば山、緑ばかりで自然に囲まれています。今はサッカーが仕事になっているので、それ以外の時間が沢山あります。

田舎で何もないからこそ、いつもなら遊びに使っているような時間でも勉強に費やすことができるので、とても有意義に過ごせているなと思います。

サッカーをすると考えるととても過ごしやすい街です。

オビエドの男子チームもLA LIGA2部に所属しているので、やっぱり地元民のチーム愛はすごいなと感じます。

バルに行くとおじいちゃんおばあちゃん達が、テレビを見ながら今のプレーはこうしなきゃいけないと戦術的な話をしている。スタジアムに試合を見に行けば、小さな子供たちが相手チームや審判にブーイングしたり、いいプレーをした選手に対して鼓舞したり盛大な拍手を送るのが当たり前。

本当にサッカーが文化だということを実感します。

私に対しても、通っているジムやカフェに来ている人たちは「今週の試合はどう?次の試合はどこのチームなのか?今の順位は?」など会うたびに話しかけてくれます。



アストゥリアスの郷土料理「cachopo(カチョポ)」チーズと生ハムを牛肉で挟んで揚げたもの


今後の目標を教えて下さい

今所属しているチームの順位が現時点で2部リーグの中間なので、残りの試合で1つでも上の順位に行くことが目標です。

個人的にも1つでも多くの試合に関わって結果を残さなければいけない。語学ももっと高めていかなければいけません。まだまだ選手としても人としても成長できる環境に身を置けていることに感謝しながら、今はただ残りのシーズンで全力を出し切りたいです。


これから海外へ挑戦する方へ、メッセージをお願いします

チャレンジしたいという気持ちがあっても、実際に行動できるのはほんのわずかな人しかいないと思っています。

サポートをしてくれる人たちは、常にチャレンジャーである私たちの周りに必ずいます。私自身もまだスペイン1年目で、初めてのことばかりで戸惑うこともありますが、家族・友人を含め沢山の方々のサポートのおかげで今ここにいることができています。

海外に来なければわからなかった日本の素晴らしさにも気が付くことができました。怖い気持ちや言い訳したいこともたくさんあると思いますが、サッカーでも、それ以外のことでも、チャレンジしたいという気持ちを忘れずに頑張ってください。


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スーペルクラック編集部

スーペルクラック編集部

スペイン・バルセロナを拠点に活動。「本物のスペインサッカーをありのままに生き生きと伝えたい」そんな想いで日々コンテンツを更新する。ライター、サッカー監督、プレーヤー等、多岐にわたるスペイン在住邦人が執筆・編集。深くサッカーを学びたいあなたへ。

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